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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和4年2月25日、ものづくり振興課)
株式会社CharacterBank(外部リンク)(京都市)の三上代表取締役様にお話を伺いました。
-まず、会社概要を教えてください。
三上)はい。弊社は2019年2月に設立したAR/VR/MRデバイス上でのゲームの企画・開発・運営を行う会社です。従業員は約10名で、その他、私の母校である京都精華大学の学生インターンの受け入れ等を行っております。
-AR/VR/MRデバイス上でのゲームの企画・開発を行おうと思ったきっかけは何ですか?
三上)元々、僕自身がVRデバイスに感動して、これは面白いなと感じたことがきっかけです。それまでもゲームの開発受注を受ける会社を経営していたのですが、オキュラスが発売された2015年にそのデバイスに触れ、感動しました。ゲームにとって「没入」という感覚体験は非常に重要だと感じています。また、受託開発ではなく全て自社開発でゲームを作りたいという思いもありました。
ーすごいですね。自社開発となると、資金調達で課題はありませんか?
三上)一般的なゲームであれば、難しいかもしれません。しかし、弊社はXRという先端技術やデバイスを武器に、ベンチャーキャピタルから資金調達をしております。昨年は、資金調達と採用強化のプレスリリース(外部リンク)も発表しております。
-ベンチャーキャピタルから資金調達をしているということは、それだけ、産業発展の可能性が高いと言うことでしょうか。
三上)世の中では、「VRゴーグルが流行らない」「エンタメには限界がある」といったことを言われたりしておりますが、既にオキュラスクエストは600~700万台も販売されています。つまり、そこにそれだけの市場があり、ユーザーがいるのです。「ビートセーバー」の事例のように、100億円以上売れているゲームもございます。VRゲーム業界はこれから伸びていく市場だと思います。現にFacebook社が社名変更したことも話題ですが、これからオキュラスと併せてSNSもバーチャルネットワークになっていくことが想定されます。
-開発されたゲームのタイトルを教えて頂けますか。
三上)リリースしているゲームは「ANSUZ -アンスズ-」というものです。今年のビットサミットでは、開発中の「MYSPERYENCE(ミスペリエンス)」を発表させていただきました。こちらも、まもなくリリースの予定です。また、「RUINSMAGUS~ルインズメイガス~」というアクションゲームも開発中です。
-どのような内容のゲームですか?
三上)動画を見ていただくのがわかりやすいと思います。
「ANSUZ -アンスズ-」は2つの勢力に分かれて戦う対人VR人狼ゲームです。プレイヤーに対し、ランダムに「善」か「悪」の役が振り分けられ、「善」が割り振られたプレイヤーは「悪」のプレイヤーを見つけ出すことがミッションです。そして、「悪」のプレイヤーは、「善」のプレイヤーに見つからないようゲームを進めます。それぞれが自分の言葉で巧みに論議を展開し、勝利を目指します。善が勝てば世界に平穏が訪れ、悪が勝てば世界が破滅するというストーリーになっています。身振り手振りや表情などの非言語コミュニケーション要素をゲームに取り入れることで、より複雑な心理戦が可能になります。
-まさに人狼ゲームですね。ミスペリエンスはどのようなゲームですか?
三上)MYSPERYENCE(ミスペリエンス)とは、MYSTERY(ミステリー)とEXPERIENCE(体験)を組み合わせた造語でして、5人同時にプレイするVRマーダーミステリーゲームです。「過去を覆し、先祖の雪辱を果たすことができるのか?」というテーマで、そこへ居合わせた登場人物の人生を追体験しながら進んでいきます。
-おもしろそうですね!開発してみて、課題などはありましたか。
三上)そうですね。複数人で行うゲームなので、「一人ではできない」という点が課題ではあります。しかし、若い世代のボードゲームブームにより、「人狼」が流行っていたこともあり「みんなで集まってANSUZ -アンスズ-をやろう!」といったイベントが開催されていたりもしました。リアルな友人と、VR空間で対面して遊ぶこともできるのでディバイスの浸透と共に、「フォートナイト」のような位置づけになれば面白いなと思っております。
-XR技術開発の人材確保はどうされておりますか?
三上)どの業界もエンジニア不足と言われておりますが、「ゲームを作りたい」「新しいものを作りたい」という人材は多くいます。実際に、京都の学生も、夏休みには東京のインターンで稼ぎながらエンジニアスキルを上げるという動きがスタンダードになっています。XRの分野では、2Dゲームと異なりグラフィックの使い方や体験の想定の仕方が異なりますので、そういった特徴的な視点も、当社でも働きながらスキルアップしていただくことが可能です。
-インターンの受け入れから、採用まで行っており、人材育成もしているのですね。
三上)そのとおりです。今の時代、専門学校やスクールに通って、お金を払って学ぶ必要はなく、「稼ぎながら学べる時代」だと思っています。
-今後の展望はございますか。
三上)ここ数年間におけるVR市場の成長はめざましく、日本でもVRデバイスが家電量販店で販売されるようになり伸びを期待しています。弊社は、その中でも スタンドアローンVRHMD(独立型のヘッドマウントディスプレイ)である「Oculus Quest 2」向けの開発を強化していきたいと思っております。「Oculus Quest 2」向けに独自に開発したシェーダー(3DCGの陰影処理を行うコンピュータプログラム)や、パーティクルシステム(炎、爆発などの自然現象や視覚効果を表現するシステム)によりPC版に劣らないクオリティのコンテンツを企画・開発予定です。
また、AR/MRグラス用のコンテンツ開発や、個人用デバイスを超えた体験型のコンテンツの制作も予定しております。良いものを作るには良いものを知り、さらになぜ良いのかを考え続けなければいけません。
「何が良いものか」という問いは時には悩み苦しむ事もあるでしょう。
弊社はそんな苦しみさえも、楽しみながら作り続けたいと思っています。
ー引き続き応援しております!
<企業情報>
会社名:株式会社CharacterBank
設立:2019年2月
事業内容:AR/VR/MRデバイス上でのゲームの企画・開発・運営
イベントの演出システム受託開発
所在地:〒606-8123 京都市左京区一乗寺西閉河原町18番地5
開発スタジオ:〒606-8247 京都府京都市左京区田中東春菜町19
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