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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:平成27年12月21日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
スーパーパルスモードによる超低侵襲性、可変フォーカス型ハンドピースによる高い操作性を実現した上、レーザー照射に連動する吸煙システムにより、院内環境も保全できる「獣医向け炭酸ガスレーザー治療器 CVL3020 CVL1507」。100V電源対応、軽量コンパクト仕様により外来等で低侵襲性の手術が可能な「新世代半導体レーザーシステム ADL-20 DVL-20 CTS」。そして、獣医向け初の半導体レーザーと連動する「高精細内視鏡システム AES-30A」。
これら製品を開発された飛鳥メディカル株式会社の取締役で経営企画部部長・管理部部長の大塚様にお話をおうかがいしました。(平成22年度元気印・経営革新企業)
―まず、御社の概要を教えてください。
大塚) 当社は、平成15年に、大手メーカー等での医療機器、特にレーザー系の医療機器の営業をしていた現会長が立ち上げた会社です。医療機器の中で、診断系は日本勢も強い分野がありますが、治療系はほとんどがアメリカやイギリス、ドイツなどの外国製に頼っています。そこで、多くが美容用途や皮膚科領域に限られるレーザー医療器メーカーの中で、手術用レーザー機器まで製造する数少ない専門企業として活動しています。
―他の中小企業の参考のためにも、医療機器分野への参入の経過を教えてください。
大塚) 当社の場合、比較的参入しやすい輸入販売や賃貸、修理といったところから徐々に拡大してきました。そして、ベンチャーキャピタルの出資を受けながら動物用医療機器製造業許可をとったタイミングや、人間用の医療機器製造業許可をとったタイミングというのは、売上拡大という点も含め大きな転機だったと思います。
―様々な研究開発をされてらっしゃいます。
大塚) はい。レーザー発生装置は単なる発信器であって、そこに取り付けるアクセサリーが医療器として重要なのですが、そのアクセサリーは病気や症状ごとに違うものが必要で、典型的な多品種少量生産ですし、同じ炭酸ガスレーザー治療器や半導体レーザーであっても、その用途ごとに承認等が必要となります。医師の思いを知って、キャッチボールを繰り返し、カタチにしていくのです。大変難しい作業ですが、企業経営的にはこれを短時間・低コストで達成できれば理想です。
―本社・京都工場では何をされていますか?
大塚) 研究開発のほか設計、組立・検査、保守等を行っています。加工の一部は協力工場へ頼んでいますが、よりきめ細かな調整をするためにも、近場である京都の企業との連携を増やしていきたいと考えています。また、当社の売上の多くは獣医向けです。全国に約1万ある動物病院の大半が1、2名の医師による小さな病院ですから、当社の営業部隊は本社と東京に分かれ、自動車で全国の病院を廻って草の根活動を展開しています。
―御社の強みはどんなところでしょう。
大塚) 創業者が営業出身であること、そして草の根活動により現場ニーズも分かっていることから、不必要に高機能を求めるのではなく、価格・機能のバランスの良い製品づくりができることでしょうか。それに、人間の病院と異なり、一人の医師が内科から外科、神経科など様々な治療をこなさねばならない獣医師に、アクセサリー部分だけを取り替えて様々な用途に利用できる当社レーザー医療器は、本来ピッタリだと思います。並行して医科向けレーザー治療器の臨床応用と新しい臨床応用開拓の研究開発も、複数の大学医学部と進めています。
―以前、御社のレーザー治療器を導入された動物病院にインタビューしましたが、おかげでより低侵襲の施術が可能となったと喜んでらっしゃいました。
大塚) 当社はハードを売っているのではなく、電気メスからレーザーへの変更に象徴されるように、新しい「施術の仕方」を売っているのです。もちろん、医療現場は事故があってはならない安全第一の現場ですから、慣れた道具・機器から新しいものに変更するのは簡単ではないかと思いますが、多くの医師にご理解いただけるよう、頑張ってまいります。
同社の海外勢に負けない製品づくりを引き続きサポートしてまいります!
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