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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和3年9月13日、ものづくり振興課・足利、(公財)京都産業21北部支援センター・土江)
浅井プラパーツ株式会社(外部リンク)(京丹後市)の浅井健史代表取締役にお話をおうかがいしました。
--まずは御社の概要を教えてください。
浅井)1984年創業、現在22名体制で、工業用プラスチック部品の切削加工を行っています。
--成形ではなく切削加工なのですね。
浅井)はい。しかも、金属加工が多い丹後では、プラスチックの加工は珍しいですね。
マシニングセンタ(左)、複合旋盤(右)
--例えばどういったものを加工されているのですか?
浅井)電子部品と一体となっており形状面で加工が難しいもの、工場ラインに用いられ製品を傷つけないよう柔軟性や耐久性のある素材面で加工が難しいもの、食品・医療関連の特殊な用途に応じて素材選びからサポートするようなものなど様々です。特に今は、半導体洗浄装置部品等の依頼が多いですね。酸、アルカリなどの薬品や純水を用いられますので、普通の金属は錆びますから、プラスチックで覆ったり、フッ素樹脂を用いたりといったことが必要なのです。
--加工精度はどのくらいなのでしょうか?
浅井)2/100ミリくらいですね。プラスチック加工では1/100ミリは難しいですから、ほぼ限界近くまでの精度を実現しているつもりです。
--金属加工でも精密加工と言われるレベルの精度ですが、どのように実現なさっているのですか?マシニングセンタの刃まで内製化されているとお聞きしましたが。
浅井)そうなのです。私が前職でダイヤモンド製の刃等に携わっていましたので、必要な刃、複雑な形状に対応するための独自の刃を、自社で作ってマシニングセンタに取り付けるケースもあります。
--そうなのですね。
浅井)一般に、プラスチックは金属よりやわらかいから、刃が傷むことはあまりなかろうと、よく言われるのですが、刃の劣化の原因は、硬い・やわらかいだけではないのです。加工するプラスチックには、ケースによってはガラスその他様々な素材が合成されていますので、複雑な要因が絡まり合い、実際にはとても難しいのですよ。
--なるほど。
浅井)このように、刃を内製できるのは、高精度を実現する理由の1つですが、何よりスピード対応できるというのがメリットですね。
--なるほど。今回、小規模企業等経営基盤強化支援補助金を活用いただき、マシニングセンタ自体の増強も行って頂いていますね。
浅井)そうなのです。そしてもう1点は、温度管理をはじめとする加工環境維持の高度化です。プラスチックは金属と違い、水を吸ったり、温度変化が大きかったり、変化が大きいため加工精度を高めるのがとても難しいのです。プラスチックは生き物なのです。
--おお、名言ですね!
浅井)半導体洗浄装置部品でよく用いられるフッ素加工樹脂などは、薬品には強いですが、やわらかく、熱に敏感で、手に持っているだけで形が変わるくらいです。
--そうなのですか?!
浅井)ですので、加工ラボの温度管理については、加工位置の高さに温度計を設置するほか、ハンディ温度計等で、パーツや加工機の加工部分の温度も把握し、温度を一定に保つ工夫をしています。
--そうなのですね。
浅井)恒温器や光学検査装置も備えています。
--顧客企業の設計図との整合も重要ですよね。
浅井)そうですね。当社自身、最新のCAD/CAMを導入していますが、依頼主様の設計程度の違い、使っておられるソフトウェアをよく理解し、それを丁寧に補いCAMに落とし込むように努めています。
--それにしましても加工ラボでは、音楽が流れていたり、雰囲気がいいですね!
浅井)集中力の必要な作業が続きますし、適度なリラックスも必要です。加工ラボの床を木にしているのは、立ちっぱなしのオペレーターの膝や腰の負担を少しでも減らせるようにと思いまして。
--すばらしい。柱、天井の梁にも木が使われていたり、外観からは分からなかったですが、雰囲気が良いですね。
浅井)ありがとうございます。プラスチックのために室温も快適な温度を保っていますので、逆に、私も含めて働く人間自身の耐性が下がってきているかもしれません。外に出ると夏場の暑さ等ですぐにへろへろになります(笑)。
--プラスチックにも人にも優しい工場ということですね(笑)。
浅井)よく、ラボがクリーンだと評価していただきますね。プラスチックですので、エアブロー対応で、切削液に油を使うこともありませんし。それに、随分以前から完全週休2日を採り入れてきましたし、時間休暇も取得できるようにしました。
--おお!
浅井)当社の社員はかなり年代が分散できているのですが、最近も20歳代半ばの方が2名お越しになることとなり、これで平均年齢は30歳代になると思います。
--いいですね。今後の展望はいかがでしょうか。
浅井)おかげさまで売上も伸びており、工場を広げる気はあります。ただ、同時に人を育成することも必要です。最近考えることは「和」ということです。お客様との「和」、そして、社内での「和」。社員は、一日の多くの時間を会社で過ごすわけですから、気分良く協力し合って成長し合うことで幸せになるという、そういう場を目指しています。
大変楽しみです!
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