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先輩職員インタビュー
プロフィール
山田 柚衣さん
職種
獣医師
入庁年度
令和4年度
経歴
令和4年4月 中丹家畜保健衛生所 防疫課
令和4年5月 中丹家畜保健衛生所 高度病性鑑定課 現在
京都府職員を志望した理由を教えてください。
幼い頃から大切にしていたペットの死が、獣医師を志望したきっかけです。悲しみに暮れるなか、実は自分自身がペットに支えられていたことに気づきました。私に限らず、人は、有形無形のさまざまな形で動物に支えられて生きています。そんな動物たちとの関わりを持ちながら社会に貢献できる仕事はないかと考え、獣医師の道を目指すようになりました。
公務員獣医師を選んだ理由は、担当する業務の幅広さです。獣医師の枠にとらわれず、動物だけでなく、食品や環境の分野に携わることもできます。学生時代に生まれ育った京都を離れたことで、地元への愛着や魅力をより一層感じていたこともあり、大好きな地元の方々の生活に貢献したいと願い、京都府職員を志望しました。
現在の仕事内容についてお聞かせください。
私が現在所属している家畜保健衛生所は、畜産振興を目的に、家畜の伝染病予防や家畜疾病の診断、飼養衛生管理の指導などを通じて、家畜衛生の向上を担っています。
府内には4カ所の家畜保健衛生所が設置されていますが、私が所属する高度病性鑑定課は福知山市の中丹家畜保健衛生所にのみ設置されており、府内全域を対象として家畜の疾病の精密検査を行っています。
私は主に細菌検査を担当しています。培養検査や遺伝子検査を用い、病気に細菌が関与していたのかを調べることで原因究明を目指しています。また、鳥インフルエンザや豚熱、ヨーネ病といった重大な被害をもたらす伝染病については監視や浸潤状況の把握のため、定期的な検査も実施しています。
現在、担当されている業務で一番印象に残っている仕事は何ですか。
「ヨーネ病」とは牛の法定伝染病で、病原体の潜伏期間が長く、発症まで数年かかり、持続感染します。また、ワクチンや治療法が確立されていないため、感染した牛は殺処分するように定められています。そのため、ヨーネ病が発生した場合、農家の方々には非常に大きな損害を与えます。だからこそ、定期的な検査を実施することで、早期発見によって被害を最小限に抑える必要があります。検査では結果を判断するのに困る稀な事例に遭遇したことがありました。対応に苦慮し、国の専門家に問い合わせたり、新しい検査法の導入を行ったり、さらに知識や技術の向上につながったことを今も強く覚えています。
ヨーネ病を広げてしまわないために、農家の方々を対象に勉強会を実施し、「大切な牛たちを守れるように」という思いを自分なりに伝えました。勉強会終了後、たくさんの質問や「勉強になった」という声をいただき、非常にうれしく思いました。
家畜が病気にかかっていないかを検査することは、普段口にしている食の安全を守ることにもつながります。検査結果によっては家畜の運命や農家さんの生活が左右されることがあります。自分が実施した検査結果が重要な判断材料となるので、大きな責任を伴うと同時にやりがいを日々感じながら業務に当たっています。
ある1日のスケジュール
時間 |
業務 |
内容 |
---|---|---|
8時30分 |
朝会 |
所内全体の予定や連絡事項などを共有します。 |
8時45分 |
課内ミーティング |
課内で検査予定の共有や役割分担を相談します。 |
9時00分 |
検査の前準備 |
検査材料が運ばれてくる前に事前準備をしておきます。 |
11時00分 |
遺伝子検査 |
処理された検査材料についてPCR検査を実施します。 |
13時00分 |
休憩 |
お弁当やおやつを食べてほっと一息。 |
15時00分 |
回覧物のチェック |
隙間時間に報告書や供覧物をチェックします。 |
16時00分 |
検査結果の報告 |
PCR検査の結果を解析。報告書をまとめます。 |
17時15分 |
退庁 |
退庁後、週1回はテニスをしてリフレッシュしています。 |
休日や退庁後の過ごし方
子どものときに習っていた硬式テニスを社会人になって再開しました。地域の方や府職員と退庁後や休日にテニスをして過ごしています。試合に出場する機会も増え、いろんな人との交流も楽しみのひとつになっています。
仕事をする上で心がけていることやポリシーを教えてください。
疾病によっては素早い対応を行うことで、今後の予防・対策にもつながります。だからこそ業務では、迅速かつ正確な検査結果を出すことを心がけています。検査業務は材料となる家畜の血液や糞便などが運ばれ、所内で検査を実施します。単純な作業にもなりがちですが、「検査結果が何を意味するのか」「検査結果がどのような影響を及ぼす可能性があるのか」「対策はどうしたらよいのか」といったことを、農家の方々へ還元することが大切と思っています。「検査の向こう側には必ず農家の方々の存在がある」。このことを常に忘れないようにしています。
受験者に向けたメッセージをお願いします。
公務員獣医師は、多くの人が想像する「動物のお医者さん」とは異なり、ひたすら裏方に徹する仕事です。しかし、診療や検査に限らず、環境や食品といった幅広い分野を通じて、府民の皆さんの安心安全な生活を守るという大きな使命があります。また京都府はいわゆる畜産県ではありませんが、診療業務や繁殖業務に携われるのも大きな特徴です。幅広く活躍できる公務員獣医師のなかでも、より多様な知識や技術が得られ、成長し続けられる環境だと感じています。一緒に仕事ができる日を心待ちにしています。
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