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いよいよ最後の月となりました。
今年度はコロナ禍により予定通りにできないことがさらに増えました。
京都府立大学との連携事業もほとんどが実施できないものとなってしまいました。
そのような中でしたが皆で考えたテーブル付きベンチを製作し、京都府立大学生と共にヒノキ材で完成させました。
家具は大抵、堅木と呼ばれる広葉樹で作られるため、構造材の加工は難しいものとなりました。ただ天板に使われているヒノキは、京都産の自然乾燥10年モノで、香りも格別です。
京都木材の利用・普及に貢献できることを希望します。
京都府立大学生も鉋かけに挑戦 | 京都府立大学生と共に製作 |
テーブル付きベンチ完成 | 正面より |
左上より | 後ろ正面 |
模擬家屋の実技訓練も最後の仕上げとなりました。
各自思い入れのある部分を写真に撮りました。
一階南側(縁側取付前) | 一階南側(縁側取付後) | 縁側1 |
縁側2 | 縁側3 | 縁側4 |
床の間1 | 床の間2 | 床の間3 |
欄間 | 二階手すり | 廻り階段(外観) |
全体「下屋」 | 格子 | 廻り階段(内観) |
越屋根 | 全体 |
集合写真 |
3月15日に、当校の修了式が行われました。
現役の棟梁先生より、お祝いとして伝統的な木遣(京きやり)を頂き、その後模擬家屋の前で写真撮影をしました。
ここでの訓練を活かして素適な人生になることを祈ります。
当校では2月に技能照査試験が行われます。
1年間の訓練成果を確認するもので、修了試験にあたります。
住建築・リフォーム科の場合は、この試験に合格すると来年度の技能検定建築大工二級の学科が免除となります。
1時間の学科試験の後、標準時間4時間半で課題を完成させます。
技能照査実技試験の様子 |
2月前半は技能照査の訓練をし、試験の終わった2月14日からいよいよ模擬家屋の建築が始まりました。
今年は、まん延防止等重点措置を受け、半数ずつの当校訓練となりました。
半数はオンライン訓練で、建築の様子等は映像にて中継しています。
昨年度までは、社寺コースと2つに分かれていたため、一日に作業する人数自体は変わりはありません。
当科は木工事を担当する訓練を行うこともあり、基礎工事は行わず、土台から始まります。
また室内で行うため、2階の階高は実際より低いものとなります。
建物位置(土台の据付位置)墨を出し、 水平器レーザーにてレベル(高低差)を 確認する |
土台の据付完成 |
建ておこし (胴差しに柱を差し、土台に柱ほぞを 合わせ建ておこす) |
リモート訓練の人へ中継 |
2階の材を搬入 | 垂木取付 | 火打ち取付 |
和室畳下地等完成 | 床柱取付 |
2階床作業-1 | 2階床作業-2 |
玄関框取付 | 2月28日10日目終了 |
最後の訓練となりますので、悔いのないように行いたいと思います。
冬休みが1月5日で終わり、1月6日より訓練が再開されました。
今年度の模擬家屋は、複雑なデザインもあってか少し遅れ気味です。
デザインだけでは設計にはならないことを学びました。
一方で、複雑なデザインを実際の建物にする大工さんの知恵と技も現在学んでいます。
模型を基に納まりを確認 | 先生方から納め方について学ぶ |
実物大での作業は、模型や今までの訓練とはやはり異なります。
墨付けが終わった材から加工が進んでいます。構造材は全て無垢材を使用します。
柱は120ミリ角、大黒柱は150ミリ角で長さ5mです。
横架材は幅120ミリで成(セイ:高さ)240ミリ、長さは4mのものもあります。
材料に電動鉋をかける | ほぞ穴をあける | 電気丸鋸で材料を切断する |
電気ほぞ取り機 | 手刻み | |
土台継手を確認 | 胴差継手を確認 | 通し柱・胴差えりわほぞ仕口を確認 |
丸太を局面鉋で削る、ちょうなで斫(はつ)る | 丸太梁木口芯出し | 丸太梁上端芯打ち |
丸太木口かぶとありかけ加工 | 工具でかぶとありかけを加工 | 丸太梁と柱の仕口を確認 |
無事に上棟が迎えられるよう、引き続き安全に気を付けて、全員で進めて行きたいと思います。
昨年度の模擬家屋の解体が終了しました。
昨年度に使用した材は、練習用材料として再利用します。
安全に気を付けて、丁寧に解体しました。
解体訓練 | 解体完了 |
今年度の模擬家屋でも丸太梁を採用しています。
昨年度の解体丸太梁を利用して、加工、墨付けの練習をまず行いました。丸太梁とは、字のごとく「丸太状の梁・横架材」のことを意味します。
効率よく荷重に耐えるために、自然の曲がりを活かすように配置します。
曲がった木材でも、基準となる芯墨、水平、垂直、通りなどを正確に印し、正確に加工できれば部材として活かすことができます。
基準を知ることは、新築工事だけでなく、リフォームにも大いに役立ちます。
曲がりのある丸太材の芯墨の打ち方等訓練 | 丸太材のちょうな斫(はつ)り等訓練 |
丸太材の仕口のひかり方訓練 | 丸太梁材の仕口「かぶとありかけ」 |
いよいよ今年度の模擬家屋の材料が入りました。
今年度の主要な樹種は、ヒノキとスギです。丸太梁も今年はヒノキ材が入りました。
墨付けの準備として、尺杖(しゃくづえ)と呼ばれる「大工専用のものさし」を作成します。
墨付けとは、部材同士が交わる接合部の加工をするための線や印を書きこむことです。
すべての部材をスケール等で長さを計測して墨付けをすると、ミスが多くなります。そのため、大工専用のものさしををつくることで、数値の読み間違えなどを防ぐことができます。
ミスを防ぎ効率化を図るための工夫をすることは、良い仕事のために必要です。
尺杖の作成 | 尺杖を使って墨付 | 小屋桁墨付 |
模擬家屋の加工訓練では、角のみやルーターといった電気工具も使用します。
電気工具類を安全で上手に扱う技術は必要不可欠です。
大入れルーター | 電気角のみ | 電気ほぞ取り機 | 電気ドリル |
訓練生全員で協力し合って、模擬家屋建築が効率よく進むようにしたいと思います。
今年度より現場監督にも対応できるように、専門講師を招いての測量実習が、10月より本格的に行われました。
距離測量、骨組測量、レベル測量、セオドライト測量、工事測量(基準高の設置、逃げ基準点の設置、縄張り、水盛り、遣り方、通り芯出し)を訓練しました。
座学の後、当校の室内開放訓練スペースと中庭にて実技訓練を行いました。
開放訓練スペースにてレベル測量練習 | 中庭にて工事測量実習 |
一班遣り方完成 | 二班遣り方完成 |
基本製作課題が修了した人から模擬家屋の模型製作に入りました。
実物大の10分の1で作製しますので継手や仕口は一部簡略化しますが、部材に通り芯や水平を求める基礎的な工程など実物同様に行います。
模型を作製することで、設計・構造・施工が立体で理解できます。
模擬家屋模型材料 | 模擬家屋模型製作 |
11月後半から、いよいよ昨年度の模擬家屋の解体が始まりました。
リフォーム訓練も兼ねて、場所ごとに、再利用できるように、丁寧な解体訓練を行いました。
玄関庇、サッシ、間柱等を解体した後、1階和室の畳仕上げをフローリング仕上げにリフォームする訓練を行いました。
解体開始 | 和室の部分解体 | 床リフォーム完成 |
訓練生全員で協力し合って、模擬家屋建築が円滑に進むようにしたいと思います。
当校では毎月全校集会を行っています。
今年度は、コロナ対策のためリモートで行っています。
また、当校では毎年人権学習を行っています。
今年度は前半はビデオ学習で行われ、試験も当科は満点でした。
後半は当校と同じ校舎にある京都府立京都障害者高等技術専門校の訓練課長からヘルプマークをテーマにしたお話がありました。
リモートによる全校集会 | ビデオによる人権学習 |
当科は毎週木曜日に体育の授業があります。
専門の先生のもと、体育館にて、バドミントン、卓球、バスケットボール、バレーボール等の競技を行い、リフレッシュやコミュニケーションをはかっています。
体育館にて各種競技1 | 体育館にて各種競技2 |
今月の製作課題は「廻り階段」です。
この課題で各自の基本製作課題は修了し、いよいよ「模擬家屋建築」にはいります。
当科の訓練生の経験・技能は人によって大きく差があるため、この期間で調整します。
仕事でも大切な計画性、協調性、自主性も身につけたいと思います。
廻り階段作図訓練 | 廻り階段レーザー丸のこ訓練 |
廻り階段丸のこ訓練 | 廻り階段完成 |
当科のメインともいえる「模擬家屋建築」の訓練がスタートしました。
当科では、模擬家屋の建築について、訓練生が自主的に計画します。
今まで学んできた内容を盛り込むことと、建築面積と建物の高さ以外には特に指定しません。
夏休み期間に各自プランを考え、夏休み明けに全員で間取りを考えます。
今年度は、各自のやりたいことを全て盛り込んだプランとなりました。
今月は、
間取りの検討→壁量計算→平面図、伏図等の作成→材料拾い出し・発注
と進みました。
今後も、進捗を記録していきますので、どうぞお楽しみに!
昨年度の模擬家屋で実物大の寸法を確認 | 模擬家屋2階に上がり小屋組みを検討 |
実物大の丸太梁の納まりを確認 | 設計検討 |
伏図より材料拾い出しを行う | 床柱の仕様を検討 |
今月の製作課題は「四方転び踏み台」です。
四方転びは、柱が垂直ではなく、二方向に傾斜します。
神社の水盤舎(水屋)、寺の鐘楼など、柱4本で風雨に耐えられるように設計された技術です。
この技術は、建築技術の要素が多く含まれており、現在の二級技能検定の課題となっています。
製作手順や評価も、検定課題と同じ内容で行っており、まずは製図からスタートです。
この製図は、部材の墨付けのために行うもので、「展開図」も書く必要があります。
これにより柱の側面に接合される横架材(貫など)の切角度などを求めることができます。
この四方転びの特徴は、柱を正方形ではなく、ひし形に形成する必要があることです。
その工程を「くせとり」と呼び、かんなで「木ごしらえ」を行います。
一年間で最も難しいともいえる課題に挑戦しています。
四方転び検定同等材料と原寸図練習 | 四方転び木ごしらえ |
原寸図をもとに墨付け | 四方転び加工 | 四方転び組立 |
四方転び完成 |
当校訓練生の夏季休校は、例年8月1日から17日ですが、今年度は、ゴールデンウイーク時に生じた休校分振替のため、8月3日から16日となりました。
当科では、平成29年度より、建築関連分野の理解や交流を目的に、京都府立大学の森林科学科、環境デザイン学科の学生と、様々な連携事業に取り組み、数々の木工作品を製作してきました。
今年度は、京都府公立大学法人学生地域活動支援事業の一環として、「木のぬくもり感じるふれあいの場」再生事業として実施されます。今年度の活動は、7月にリモートによるキックオフミーティングが行われ、
を予定しています。
8月25日には第二回ミーティングが行われました。
本来なら南丹市美山町にある大野演習林見学でしたが、緊急事態宣言を受け、リモートにて、京都府立大学森林学科生による「森林管理について」と「木材利用について」の話を聞き、その後、夏休み期間中に考えた各自の製作物アイディアをみんなで共有しました。
今後も、本事業の進捗をお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに!
リモートによるミーティング | みんなのアイディア |
7月からの実習は、現役棟梁が先生に加わり、さらに実践的な訓練が行われています。
今月の訓練課題は「棒隅木」です。
先月の技能検定三級課題の応用実践で、入母屋や寄棟とよばれる屋根の隅角部で、45度に納まっているものです。
切妻屋根の場合は、平勾配と返し勾配の矩(かね)使いで可能ですが、隅木を用いる場合は、平勾配のほかに、隅勾配、隅木山勾配、上端留め、向こう留め、投げ墨、馬乗り墨、たすき墨、落ち掛かり墨などのさしがね使いを知る必要があります。
これは当科の特色でもある「規矩術」の基本課題といえます。
棒隅木材料と墨付け練習図面 | 棒隅木完成 |
現役棟梁からの実技指導(墨付け・加工・組立等) |
現役棟梁の先生から「訓練生のこの2ヶ月の成長は著しい」とお褒めの言葉もいただきました!
当科では、毎年7月末に3級技能検定に挑戦しています。
3級技能検定に合格することで、年度内に2級技能検定の受験資格を得ることができます。
3級技能検定の課題は、隅木という屋根の隅角部に配される部材の模型作製です。
この課題には、墨付けをはじめ大工技能の基礎がたくさん含まれています。
全員合格を目指して練習し、受験しました。
技能検定3級同等材料 | 技能検定鉋練習 | 技能検定墨付け練習 |
技能検定鑿練習 | 技能検定鋸練習 | 技能検定釘打ち練習 |
技能検定3級練習完成 |
当校では、京都ジョブパークから講師を招いて、社会人基礎力を身につける研修や、
就職に関する講習会などを開催しています。
先日、当科では「働く前に身につける社会のルール」「基本マナー~ビジネスマナー編」
「自己PR・志望動機作成のコツ」を受講しました。
社会人としてのマナーがなければ、技能や個性を活かすチャンスにも恵まれないことでしょう。
信頼される職業人はマナーも良く、礼儀もわきまえています。
この講習も活かして就職につなげたいと思います。
ビジネスマナー歩き方講習 | 自己PR・志望動機作成講習 |
当科の単位を修了すると修了年に建築士受験資格が取得できます。
今年度より、現役の一級建築士事務所の先生方を招いた授業も行われています。
専用のパソコン教室での模擬家屋図面やCAD検定、木造建築士図面に向けての授業も始まっています。
一級建築士による学科授業 | パソコン教室でのCAD授業 |
6月に入り、いよいよ「加工」の訓練が始まりました。
材料を加工するには、材料に「墨付け」することが必要になります。
「墨付け」が出来れば一人前と言われるほど難しい技術です。
墨付けもまず、墨をつける道具(墨差し、墨壺)の手入れから始まります。
そしてやっとイメージした大工らしい作業、鋸(のこぎり)、鑿(のみ)を使って「継手(つぎて)」を製作しました。
継手とは、木材と木材を同方向に繋ぎ合わせて、長さを得るための接合方法です。
現在では機械で行うことが多くなりましたが、伝統工法や軸組構法、リフォームなどの木造建築には欠かせない技術です。
墨差しの手入れ |
墨付け | 鋸(のこぎり)作業 | 鑿(のみ)作業 |
こしかけあり継手 | こしかけかま継手 |
今は体調管理の難しい時ですが、自己管理能力も合わせて訓練していきたいと思っています。
当科では、野外訓練として毎年4月の最終日に「竹中大工道具館」を見学しています。
残念ながら昨年に引き続き、今年度も新型コロナウイルスによる休校のため見学が叶わず、
11連休から5月が始まりました。
連休明けにもかかわらず皆さんは志が高く、朝早くに来たり休み時間を使ったりして練習する人もいれば、訓練終了後に30分ほど残って砥ぎものの練習をする人もいます。
鉋(かんな)の刃が砥げると、次は鉋台等の調整が必要で、その後やっと鉋が使えます。
鉋(かんな)の次は鑿(のみ)に入ります。
鑿もすぐに使えるわけではなく、まず鑿の手入れが必要です。
また今年度は、密を避けるために学科授業は教室ではなく実習室で行っています。
新型コロナウイルスの早期終息とみなさまのご健康を祈り、さらなる訓練を続けていきたいと思っています。
4月16日に入校式が行われ、住建築・リフォーム科では19名が入校しました。
訓練生のみなさん、ご家族の皆様、また企業の皆々様、リニューアルされた住建築・リフォーム科をどうぞよろしくお願いいたします。
初めに行う実習実技は、「刃物研ぎ(鉋等)」です。
業界では「砥ぎもん」と呼ばれる重要な過程です。
まずは練習用の鉋(かんな)の刃を、使えるような形状に仕上げる訓練です。
訓練生のほとんどが建築について、予備知識がまったく無い状態から訓練を始めるため、分からないことや難しいことなど、最初は一人一人がそれぞれの壁に突き当たることがあると思います。
しかし、指導員にアドバイスを求めるだけでなく、切磋琢磨(せっさたくま)する仲間と上手くいかない理由や工夫を共有するなど、良好なコミュニケーションも図れており、少しずつ腕を磨いていっている様子です。
「砥ぎもん」は建築業界では基礎中の基礎であり、就職後はこれほどの時間をかけて取り組むことはできません。
そのため、即戦力となる「砥ぎもん」を目指して頑張ってほしいと思います。
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