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公害紛争処理制度は、民事訴訟と比べて簡易、迅速、低廉であることに加え、法律や公害の専門家が委員となり、必要に応じて現地調査を行うなど、公害紛争の解決に特化した制度であり、あっせん、調停、仲裁、裁定といった手続が用意されています。
本制度について、ご不明な点がありましたら、下記のお問い合わせ先までご相談ください。
公害紛争処理制度には、あっせん、調停、仲裁、裁定の4つの手続があります(裁定は公害等調整委員会のみ)。どの手続を利用されるかは、申請される方の自由です。
なお近年では、ほとんどの紛争で調停又は裁定が利用されています。
あっせんとは、あっせん委員が紛争の当事者間に入って、交渉が円滑に行われるよう仲介することにより、当事者間の自主的解決を援助、促進するための手続です。
あっせんの申請がなされると、3人以内のあっせん委員が指名されます。あっせん委員は、当事者双方の主張の要点を確かめ、当事者間の話合いが円滑に進むようにその間を仲介し、当事者間に合意が成立するように努めます。
紛争の性質や話合いの進み具合に応じて柔軟かつ適切な手続がとられることから、一般に規模の小さな事件の処理に適しています。
調停とは、調停委員会が紛争の当事者を仲介し、双方の互譲による合意に基づいて紛争の解決を図る手続です。あっせんと類似していますが、調停委員会が積極的に当事者間に介入し、手続をリードしていく点が異なります。
調停の申請がなされると、3人の調停委員で構成される調停委員会が設けられ、手続を進めていきます。調停委員会は調停期日を開催して、当事者から意見を聴取し、資料の提出を求め、また、現地調査を行う等により、事実関係を明らかにして当事者間の話合いを進めます。さらに、必要に応じて調停案の提示や、調停案の受諾の勧告を行います。
京都府公害審査会では、受け付けた事件のほとんどを調停手続により処理しています。
出典:公害等調整委員会ホームページ(http://www.soumu.go.jp/kouchoi/)
仲裁とは、紛争の当事者双方が裁判所において裁判を受ける権利を放棄し、紛争の解決を仲裁委員会にゆだね、その判断に従うことを約束(仲裁契約)することによって紛争の解決を図る手続です。
仲裁の申請がなされると、当事者の合意に基づき選定された3人の仲裁委員が仲裁委員会を構成し、手続を進めます。仲裁委員会は、当事者を審尋(意見聴取)し、必要があると認めるときは事実の調査等を行い、仲裁判断を行います。仲裁判断は、当事者間において確定判決と同一の効力を有します。
裁定とは、当事者間の紛争について裁定委員会が所定の手続により、法律的判断を下すことによって、紛争の解決を図る手続です。裁定には、責任裁定と原因裁定の2種類があり、いずれも公害等調整委員会のみが行う手続です。
公害に係る被害が発生した場合に、損害賠償責任の有無に関し、法律判断を行うことによってその解決を図る手続です。
公害に係る被害が発生した場合に、加害行為と被害との間の因果関係の存否に関し、法律判断を行うことによってその解決を図る手続です。
出典:公害等調整委員会ホームページ(http://www.soumu.go.jp/kouchoi/)
紛争の種類により、処理する機関(申請先)が異なります。京都府内の紛争であれば、京都府公害審査会か公害等調整委員会のいずれかの機関に申請することになります。
京都府公害審査会は、公害紛争の処理を目的として、「公害紛争処理法」に基づき設置された京都府知事の附属機関であり、弁護士や学識経験者等10名の委員で構成されます(事務局は京都府府民環境部環境管理課が担当しています)。調停等が申請されると京都府公害審査会会長が指名した委員が調停委員会等を構成し、紛争の処理にあたります。
(※)重大事件:大気汚染、水質汚濁により生ずる著しい被害に係る次の紛争
(※)広域処理事件:航空機や新幹線に係る騒音紛争
(※)県際事件:複数の都道府県にまたがる紛争(申請はいずれか一つの知事に対して行う)
京都府公害審査会の処理事件の概要(令和3年12月末現在)(PDF:251KB)
(「京都府環境白書令和3年度版データ編」より)
公害等調整委員会は、公害紛争処理等を目的として国に設置された機関です。なお、裁定は公害等調整委員会のみが管轄しています。
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