京都府児童虐待防止強化対策検討会(第1回)
府児童相談所の現状、児童虐待施策の取組について府から説明を行い、各委員からの意見聴取及び意見交換を行いました。
開催日時
令和2年12月22日(火曜日)午後3時から4時40分
場所
京都ガーデンパレス「鞍馬」
出席者(敬称略)
【委員】
- 津崎 哲郎 NPO法人児童虐待防止協会 理事長
- 三林 真弓 京都文教大学臨床心理学部 教授
- 安保 千秋 京都弁護士会
- 松田 義和 京都府医師会 理事
- 早樫 一男 京都府児童福祉施設連絡協議会 会長
- 小島 みどり 舞鶴市立三笠小学校 校長
- 縄手 健也 長岡京市立長岡第三中学校 校長
- 吉岡 宏典 京都府警察本部生活安全部少年課 児童虐待対策官兼少年サポートセンター所長
- 桝田 悟司 京田辺市健康福祉部 子育て支援課長
- 和田 敬司 久御山町民生部 子育て支援課長
- 大泉 清貴 京都市子ども若者はぐくみ局子ども若者未来部 子育て世代包括支援担当部長
【専門委員】
- 浦田 雅夫 京都芸術大学学術学部 教授、アフターケアの会メヌエット
- 周藤 由美子 ウィメンス゛カウンセリンク゛京都 フェミニストカウンセラー
【京都府】
健康福祉部副部長、家庭支援課長、各児童相談所長 ほか
開催結果の概要
議事
(1)京都府の児童相談所の現状について
(2)京都府における児童虐待施策の取組について
(3)意見交換
主な意見
未然防止について
- 親子関係を上手に作れない家庭が増えており、親になることへの期待や、親になる手前の若者が、親になるということがどういうことなのかを理解し、より具体的なイメージをもって親になることが未然防止に繋がるのではないか。
早期発見・早期対応について
- DV絡みで深刻化し、虐待死するケースが全国で立て続けに発生した。京都府では、今年度から「児童虐待・DV連携推進員」が配置され、初期の段階から虐待担当とDV担当が連携して対応していることはよいこと。
- DV被害者は、複雑性PTSDや対人関係が難しくなっている場合があり、児童相談所職員が、虐待やDVのトラウマ等への対応力を、さらに身につけるとともに、専門家と連携していけるとよい。また、DV加害者に対する改善プログラム実施などの対策も有効ではないか。
- 虐待死事件では、DVを十分にキャッチできなかったことも指摘されている。虐待やDVの入り口からではなくとも、SNSの活用など子育て支援の入り口から支援に繋げていけるとよい。
被虐待児等への支援について
- 児相案件である子どもやその保護者の情報が、事前に医療機関に入れば支援ができる。かかりつけ医にだけでも情報共有ができないか。
- 面前DVにおける子どもの心理的ダメージは相当なもの。直後だけでなく、かなり長年にわたり傷つきは大きい。そういった子どもへの心理的ケアが必要。
社会的養護について
- すべての子どもに入所時から退所後までの見通しをもった計画の作成が必要。退所後の状況の変化についても丁寧にマネジメントしていけるよう、施設に自立支援コーディネーターを配置するなど体制整備が必要。
- アドボカシー(意見形成支援・意見表明支援)機能が強く求められており、子どもが人生の主人公としてどう生きていくのか、自分の人生について意見が言えるような環境の整備が必要。
児童相談所、市町村、児童養護施設等について
- 児童相談所では、虐待対応件数に合わせて人員も増員されているが、ケース数の増加だけでなく、多様化、複雑化もしている。
- 慢性的なネグレクトや、知的障がい、精神疾患等をもつ保護者など、多様化、複雑化しているケースも見られ、長期的な支援が必要。
- 施設において、生育歴の中で、親子間の葛藤やしんどさを抱え、心理的ケアが必要な子どもがおり、そういった子どもを支える心理職員等の配置も必要。
児童虐待防止条例の策定について
- 児童福祉法、児童虐待防止法も都道府県の責務であるが、都道府県においても、政策の段階にとどまらず、条例という法令をつくり、さらなる根拠法をもって取り組むことは非常に重要なことである。子どもたちの育ちをどう保障するかということを、条例という位置づけで取り組めば府民にとってもわかりやすく、虐待の予防や未然防止への理解にも役立つのではないか。