選定理由 |
含ニッケル鉱物は国内でも産出が少なく、風化残留鉱床としてのニッケル鉱床は国内では珍しい。 |
分布 |
本地域と同様な成因の鉱床は国内ではあまり例がない。福井県若狭や大分県南海部
郡若山鉱山では珪ニッケル鉱が少量産する。
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特徴(特異性) |
大江山超塩基性岩体の西北縁には崖錐堆積物層が発達している。露天化作用を受けた部分は大江山ニッケル鉱山として開発された。鉱石はニッケルを含む褐鉄鉱質鉱石で一部にかつて珪ニッケル鉱が認められた。緑色で非晶質。柔らかくかつ脆い。ニッケルとマグネシウムを含む含水珪酸塩である。かんらん岩や蛇紋岩の風化分解によってニッケル品位が富化されたものと考えられる。他に青緑色の含ニッケル粘土も産する。含ニッケル粘土は露天化残留鉱床の最下部に産し、褐色粘土の下部にレンズ状をなす。しばしば鱗状の水滑石を含み、時としてその大部分が水滑石であることがある。1%程度のニッケルを含有する(菊池,1946)。 |
現状 |
含ニッケル粘土は地形によって鉱床の発達が支配され、傾斜の急な地形では薄く、緩傾斜の部分では厚い傾向がある。鉱山として開発された地域のニッケル鉱石は掘り尽くされ、ほとんど残っていない。 |
保存に対する脅威 |
鉱床自体が崖錐堆積物であり崩壊しやすく、また、風雨によって流出してしまう可能性がある。 |
必要な保全対策 |
超塩基性岩体に伴う崖錐堆積物層中のニッケル鉱物の分布を調査する必要がある。 |