特徴(特異性) |
化石植物としてよく知られているメタセコイヤの葉や球果・種子の化石は、大阪層群ではMa2以下の地層から産する。深草神明講谷町と山科観修寺北大日町との境界の高度80m付近には、厚さ10mの粘土層がほぼ水平に挟まれている。三木(1933,1948)、Miki(1957)はここからPinus armandii var. amamiana(アマミゴヨウ)、Metasequoia distica(イチイヒノキ)、Cunninghamia Konishii(ランダイスギ)、Nelumbo nucifera(ハス)、Paliurus nipponicus(コウセキハマナツメ)、Trapa macropoda(シリブトビシ)など20種の植物化石を記載した。深草団体研究会(1962)もその100m東で同様の化石を採集し、図版に写真を載せ、その粘土層は山田タフを伴う層準であることを示した。すなわちこれはMa2相当層であるが、淡水成ということである。その後この付近の開発が進み、崖が100m以上北へ後退したとき、この粘土層の中部に白色の薄い火山灰が挟まれていて、その火山灰を挟む20〜30cm厚さの部分だけが、暗青灰色を呈する海成粘土であると観察された。百原(1993)はMa2層準からメタセコイヤを産した地点を、深草の他に枚方市別所(Miki,1948;高谷・市原,1961)と太子町葉室(Miki, 1957;吉川、1973)とを示している。前者はMa2下位の淡水成粘土層という。百原(1993)はまたメタセコイヤの近畿からの絶滅について論じている。Ma2のみでなくMa3をも含めた層準の植物化石と堆積環境の研究がなお必要であろう。 |