特長 |
最終氷期に形成された平地の高層湿原であり、池の中には浮島があり、池の水草群落や周辺の落葉樹林など全体に寒冷な地方に見られる植物が多く、またその植物群落を利用する昆虫や野鳥等、独特の生物群集を作っている。昭和2年に国の天然記念物に指定され、その指定の際の調査やその後の何度かの学術調査等が行なわれている。浮島にはオオミズゴケやハリミズゴケなどが見られ、中にはノリウツギ、イヌツゲ、ニシゴリなどの木本植物も侵入している。また浮島の周辺には、ミツガシワが広く見られ、そのほかにも、サワギキョウ、ヒメコウホネ、ジュンサイ、ヒツジグサ、ガガブタ、ヤチスギラン、カキツバタなどの多くの水生植物が見られる。 |
分布 |
高層湿原は、本来は寒冷地に発達するものであり、京都府ではほとんど見ることはできない。深泥池では、地下から冷たい伏流水が湧きだしていて、池の水温の上昇を防いでいるために、このような湿原が維持されていると考えられている。 |
保存に対する対策 |
府内では外に例が少なく、またそれが市街地のごく近くにある高層湿原として非常に価値の高いものである。天然記念物に指定されているために保護されているが、市街地に近いために、下水の流入や周辺の道路の拡幅の希望等があり、周辺の環境が変化することによってこの植物群落も変化をしはじめている。また周辺環境の変化と共に、湿原の遷移も進みつつあり、乾燥化が始まっている。この乾燥化も、周辺の変化や市街地がより開発されている事による伏流水などの変化等にも関わりがあるのかもしれない。さらに池にブラックバスやカムルチーが放されるなどの人為的な問題もあり、総合的な管理の体制を作り、環境変化のスピードを押さえる努力が必要である。 |