選定理由 |
もともと分布はごく局限されており、1970年代には既に福井県と京都府くらいしか知られていなかった「幻の種」であり、絶滅寸前種ないしは絶滅危惧種としてもよいと考えられたが、近年になって、なぜか散発的に生息記録が得られており、準絶滅危惧種としておく。 |
形態 |
体長23mm前後、黒色の体に黄色の斑紋と赤褐色の肢をした美麗な種。 |
分布と生態的特性 |
本州、四国、九州、朝鮮半島から中国大陸に分布。バッタ類を狩り、地中に営巣。営巣行動は常木勝次(1942)が戦前に中国大陸で記録しただけであったが、日本では常木らが1970年代に福井県で初めてコロニーを発見し、観察された(Tsuneki1976)。 |
生息地の現状と保全対策 |
本種は、古く1930年代に京都市南部久世の鴨川川原に木村(1936)が記録して以来、京都市内では1999年に遠藤が伏見桃山で1個体を確認するまで記録がなかった。1970年代には、丹後箱石浜で少数の営巣を確認したが(遠藤1991)、その後はずっと姿を見ない。また2000年に大山崎町でも小さなコロニーを確認している。府外では、ごく近年、兵庫県三田市などで偶発的に多数発生した。その事情は不明ながら、著しく散発的で、極めて希少種であることに変わりはない。バッタ類を狩るので、獲物の条件が悪化しているとは考えにくく、個体群の不安定な理由は不明だが、動作はかなり緩慢であり、何らかの天敵などの影響を受けやすい、大変デリケートな種なのかもしれない。 |
その他 |
東アジア固有種 |