選定理由 |
近年、全国的に減少傾向にあり、府内でも個体数が激減していると考えられるため。 |
形態 |
前翅長16〜23mmで、橙色の翅をもつ大型のシジミチョウ。後翅には尾状突起があり、裏面は橙色の地に小さな黒斑が多数ある特徴的なゼブラ模様をしている。
◎近似種との区別
アカシジミとは、裏面の特徴的な斑紋で容易に区別できる。 |
分布 |
北海道(南部)、本州、四国。
◎府内の分布区域
府内全域に分布するが、北部地域ではやや局地的。南部地域には普通に見られ個体数も少なくなかったが、近年減少が著しい。 |
生態的特性 |
年1化性で、成虫は平地では6月頃、山地でも7月初旬までには羽化する。幼虫の食樹は主にクヌギとアベマキなので、平地〜低山地のクヌギを主体とした雑木林が主な生息地となる。成虫は夕方、クヌギなどの梢を活発に飛翔する。卵(卵内幼虫)で越冬する。 |
生息地の現状 |
クヌギを主体とする雑木林は残っているが、本種は若いクヌギが多い所を好む傾向があるため、雑木林が放置され、遷移が進行した林になると本種の生息にはあまり適さなくなるようである。近年、全国各地で本種が激減していることが報告されており、京都府も例外ではないが、激減の理由はよくわかっていない。ただし、2000〜2001年はやや個体数が回復したように思われる。 |
生存に対する脅威 |
開発や植林による雑木林の消滅や、里山の放置による若いクヌギ林の減少。 |
必要な保全対策 |
本種が減少しているのは確かであるが、これが一時的なものなのか、これから絶滅の方向に向かうものなのかは、データがなくまだわからない。したがって、本種の生息地や生息個体数等についての調査を継続していく必要がある。 |