選定理由 |
戦前の観察記録があるが、府内での確実な記録は見当たらない。旧北区の温帯圏に広く分布する種で、本州に分布する。おそらく、かつては府内の河川の川原の砂地などに生息していたと見られるが、近年、全く報告・知見がなく、絶滅が危惧される。 |
形態 |
体長8〜15mm、黒色、腹部1〜3節に3対の橙赤色の斑紋。 |
分布と生態的特性 |
本州、ユーラシアからアフリカ北部に分布。成体越冬したメスは、春先(3〜4月)にチガヤなどの生えている川原などの砂地で、コモリグモ類(特にハラクロコモリグモ)を狩り、地面に穴を掘って営巣。本種はクモの生息する穴などを探索し、狩りをする。狩猟行動の詳細は未観察。夕刻に営巣活動することが多い。秋に成虫が羽化するが、営巣活動は見られず、メスだけが翌年の春まで越冬する。岩田久二雄による大阪府の猪名川川原で1927〜28年の観察、1940年代初めに関東で丸山工作による詳しい観察記録がある。 |
生息地の現状と保全対策 |
元来、洪水などの影響を受けやすい不安定な環境に生息していたと見られるが、猪名川川原と関東の観察記録以外には、ほとんど記録がない。春先の肌寒い時期に、しかも夕刻にかけて営巣活動するので、人目に触れていない可能性も捨て切れないが、長年にわたる河川改修によって川原の砂地が消失し、コモリグモ類が減少して、本種の個体群を衰退させていることは確かである。川原などの自然環境の回復は必要であるが、すでにソース個体群自体が壊滅している心配がある。 |
その他 |
旧北区固有種 |