選定理由 |
各地で著しく減少していると見なされる種。かつ世界的にもごくわずかな種しか存在しない特異な双翅類で、学術的にも貴重である。 |
形態 |
体長2〜3mm程度の小型種で、翅に極めて特徴がある。また口器は退化している。胸部は暗褐色、腹部は淡暗褐色。オスの触角は極めて長い。 |
分布 |
本州、九州に分布。
◎府内の分布区域
京都市の鞍馬、貴船、愛宕等から記録。 |
生態的特性および生息地の現況 |
幼虫は流れのごく速い清流中の石上にのみ生息し、藻類を食し、周年発生する。成虫は野外では容易には発見されない。易(1933)は飼育によってこれを得ることを試みたが困難を極め、1雌を得たのみであった。しかし後にはオスも発見されている。今回の調査では対象外としたため新たな知見は得られていないが、一般には、極めて減少していると見なされている。ただし最近でも京都での生存は確認されている。易(1933)によるとかつては鞍馬川に多数の本種が生息していたという。即ち、直径20cmほどの石一個あたり5匹から多いときには20匹もの本種の幼虫が付いていたと記されている。なおこの時の調査期間において、著しく個体数が減少したことがあり、これは側の道路工事の影響ではないか推察されている。限定された生態環境のみに生育するため、環境のわずかな変化でも、その影響を受けやすいと思われる。 |