選定理由 |
特異な生態を持つ海浜性のチビゴミムシで、国内における既知の産地は極めて散発的である。1属1種で他に近縁の種類はなく、チビゴミムシ類の系統や進化を考察する上で貴重な種類である。府内では、1999年に冠島の海岸部で発見され、その後、丹後半島の海岸部でも確認された。府内の記録は、本種の日本海側における東限記録となっている。 |
形態 |
体長3.9〜5.0mm。体型は細長く、頭部はやや大型。体は色素が薄く褐色で、後翅は退化している。複眼も退化傾向が認められ、地中・地下浅層への適応がうかがえる。原亜種、ナンカイイソチビゴミムシ(ssp. kurosai)、イズイソチビゴミムシ(ssp. pacifics)の3亜種に分けられている。京都府産は原亜種に属する。 |
分布 |
原亜種は、京都府、島根県(浜田市)、福岡県(筑前沖ノ島)、長崎県(男女群島男島)から記録がある。タイプ産地は島根県。ナンカイイソチビゴミムシは愛媛県(宇和島市)に、イズイソチビゴミムシは神奈川県(真鶴町)と東京都(伊豆大島)に産する。
◎府内の分布区域
舞鶴市冠島、丹後町。 |
生態的特性 |
チビゴミムシ類としては珍しく好塩性。海岸の岩礁地帯で、陸地から粘土質の土壌が供給され、かつ淡水が浸み出しているような場所に生息する。夏期には満潮線付近の石の下で活動するが、気温の低い季節になると崖下の崩落土の中へ移動する。 |
生息地の現状 |
冠島では、1999年9月に行われた京都府レッドデータ調査の際に、島の東側海岸で発見された。その後2001年には丹後町北部の海岸でも生息が確認された。冠島は人の立ち入りが制限されているため、生息地の環境悪化の心配はない。 |
生存に対する脅威 |
海岸の崖の補修工事等により生息地が破壊される可能性がある。 |
必要な保全対策 |
自然状態の海岸を維持すること。 |
その他 |
日本固有種 |