選定理由 |
タイプ産地:京都市嵯峨嵐山、全国的希少種で他に福井、三重、岡山、熊本から記録あり。 |
形態 |
最小型種の一つで体長1.5-2mm。強固な感じで長楕円形に近く平行状で、前胸後角末端部は僅かに狭まる。前胸背板中央部と上翅基部後方がわずかに広がる。背面光沢は明瞭。黒色で脚部は茶褐色、転節と符節はより淡色。体毛は銀白色乃至は白黄色で艶があり、細長く直毛で密。触角は極めて長く数珠状、オスでは末端2乃至3節が前胸後角端を越え、メスでも末端節が越える。基節は膨大し筒状、第2節も筒状で先端部は僅かに膨れ、次節より明瞭に太長い。第4節から長三角錐状、第6節からは長目の珠数状。前頭縁線は縁取られ中央部ではやや突出、複眼前方で狭く分岐し長三角形状凹部を形成。頭頂点刻は極めて小型で単純、規則的で疎布し、点刻間は平滑で間隔は広い。前胸は半球状で僅かに横に長く、後角は後側方へ伸長し細い三角状、先端は鋭角状に突出し、1隆起線が側縁に平行に伸長し前縁と融合。背板点刻は頭部とほとんどど同じ。小盾板はハート型で僅かに長く、背面は平坦で明瞭な卵形圧平部があり、その側縁線は明瞭に隆起状、前端部はほぼ弧状で小盾板の前縁からは明らかに分離し、後端は小盾板後端側縁と完全に融合。上翅条線は完全に消失し、背面は平滑で前胸背板とほぼ同様の点刻を疎布。後胸腹板隆起線は完全で長三角形状。
◎近似種との区別
チビマメコメツキ類は微小な体形と、ほとんどどの種が黒色で斑紋のようなものを持つ種は少なくとも本邦からは知られておらず、更に最近の研究で実に多くの種に分化していることが明らかとなり(マメコメツキ類なども含めると本邦で亜種を含めほぼ50種余り)、特定の数種以外は未だ十分な分布記録も少ないため、その分類同定は最も困難なコメツキの一つである。ただ前頭縁線、小盾板、後胸腹板隆起線などの構造で種毎に極めて明瞭な差異点を持ち、雄生殖器でも構造上差異が明瞭なものが殆どである。本種は本邦のチビマメコメツキ類の中でも最小型で、触角が極めて長いことにより他種とは区別し易いが、本土分布のものに拘わらず、近似種としては離島分布種であるウグリチビマメコメツキ( Q. uguriensis uguriensis Kishii)、オキチビマメコメツキ( Q. u. okicola Kishii)、クチエラブチビマメコメツキ( Q. u. heianus Kishii)などとの類似点が多く同系の種と思われる。ただこれらの中では最も小さく触角が最も長いのと、雄生殖器中片の先端が著しく先鋭に突出するので、容易に区別できる。 |
分布 |
福井、三重、京都、兵庫、岡山、熊本など6府県から知られ、タイプ産地で多数個体が得られた以外ではいずれでも少ない。
◎府内の分布区域
中部地域(美山町)・南部地域(京都市・乙訓地域)。 |
生態的特性 |
初夏の候に疎林地域の潅木葉上で得られるが一般には少ない。基準標本は嵯峨嵐山の保津峡畔でヒラドツツジ葉上に群生(81 exs.)していた。 |
生息地の現状 |
現況はほとんど以前と変わっていない。 |
生存に対する脅威 |
人為的な環境悪化が進まない限り差し迫った大きな脅威はないと思われる。 |
必要な保全対策 |
人為的な破壊現象が進まぬように、また自然条件の維持が出来るような、里山的な環境の維持が望ましい。 |
その他 |
日本固有種 |