選定理由 |
全国的希少種で、京都では芦生演習林での1例のみ。 |
形態 |
体長8〜8.5mm。細長い筒型で肥厚し平行状。頭部と前胸背板及び腹部はほぼ黒色で各関節周縁部は多少とも赤褐色、触角・前胸後角・上翅・前胸腹板前部と後部の突起・前胸腹板側縁線・中胸腹板の大部分は赤褐色、脚部は淡黄褐色で、上翅の基部と外側縁部は赤黄色。光沢は明瞭で頭部と前胸背板ではやや真鍮色の艶をもつ。体毛は細く長めで不規則に湾曲し白黄色で光沢をもつ。触角は長く前胸背後角を僅かに越え、第2・3節は短小等長でやや円錐状、第4節から鋸歯状。前胸は長台形状で丸く上方に膨隆し単純。側縁線前端は前縁と完全に融合、前端の後方は僅かに側方へ膨れる。後角は太短く、先端は広く裁断状、隆起線は不明瞭。点刻は小型円形単純で密布し、点刻一部はやや網目状に融合。小盾板は舌状で強く前方に傾く。上翅基部は横に狭く圧平され、条線は細く明瞭で溝状。前胸腹板突起は側方へ広がる。前胸腹側板の内縁は直線状で前端部は下方に隆起。また腹側板の後縁は後角の近くで内方へ剔られる。
◎近似種との区別
本邦産のカネコメツキ類はほぼ20種あるが、数種を除き珍しいものが多い。本種は早く記載されたが最も採集記録の少ない種で、且つ本属の中では形態的に特異な特徴を持っている。カネコメツキ類の大部分の種では前胸側縁線は通常前縁線の手前で途切れ、前縁線と融合状には成らぬが、本種とフタキボシカネコメツキ( L. kraatzinihonicus (Kishii))の両者は側縁線前端が前縁線と完全に融合状に連絡する。フタキボシカネは上翅中央近くに鮮明な1対の黄色斑紋を持ち、本種は無紋で上翅の基部と側縁武が赤橙色である。体形と色彩はウスチャイロカネコメツキ( Nothodes marginicollis (Lewis))によく似るが、これとは前胸腹側板後縁が剔れる点で区別しやすい。 |
分布 |
タイプ産地は長野県野尻湖畔で、現在までに知られる産地は青森、長野、京都、奈良、岡山、山口、高知の7府県から各1例ずつのみ記録されたに過ぎない。
◎府内の分布区域
中部地域:美山町芦生演習林から1例のみ。
◎近似種との比較
分布域は広いが採集記録例が極めて少なく、葉上、花上などで偶然に見出されているのが常で、詳細は不明である。 |
生態的特性 |
これまでの府内での記録は6月に1雌個体が得られているのみで詳細な生態は不明である。 |
生息地の現状 |
幸いにして現状では芦生演習林の自然環境は良好に保たれていると思われるので、このままの状態で維持されるなら安定であろう。 |
生存に対する脅威 |
人為的な破壊現象が進まない限り、本種のような希少種でも容易に絶滅することは無いと思われるので、道路建設、宅地・農地などの開発、廃棄物増加などの厳重な規制が望まれる。 |
必要な保全対策 |
現況の維持保全が望ましい。 |
その他 |
日本固有種 |