選定理由 |
生息地が局限され、生息密度の変動が大きい可能性がある。既知の生息地が地理的分布域の北限に位置している。 |
形態 |
小型のキセルガイで殻高10mm弱。螺塔の拡大が顕著で、太短い外形をしている。殻表は茶褐色で淡い火炎状の斑紋がある。成貝でも殻の内部の板や腔襞はない。絶滅寸前種カスガコギセルガイに似るが、より寸胴で殻の内部に板や腔襞がまったくないことで区別は容易である。 |
分布 |
南西諸島以北本州まで主として太平洋側の海岸沿いに分布し、府内では若狭湾沿岸(舞鶴市)の数ヶ所から知られるのみで、冠島(丹後大島)は地理的分布域の北限である。 |
生態的特性 |
海岸沿いの常緑広葉樹林に生息し、樹上棲。冠島では神社の石灯籠に付着していることもある。 |
生息地の現状 |
地理的分布の様式から、海流による分散で分布域を拡大してきたと考えられる。日本海側では生息地がきわめて限定され、冠島はその北限にあたり、生物地理学上の価値が高い。冠島では個体数の変動が著しく、近年の減少傾向が懸念される。 |
生存に対する脅威 |
冠島では、大規模な環境変化が認められないにも関わらず、本種の生息密度が減少していることは、何らかの環境要因の劣化が影響している可能性がある。 |
必要な保全対策 |
本種は減少傾向が懸念されるために、定期的なモニタリング調査を実施することで、状況を常に把握しておくことが望ましい。 |
その他 |
日本固有種 |