選定理由 |
府内の既知の生息地は局所的であり、常に水浸しの岩壁という特殊な環境にのみ生息。 |
形態 |
殻の外形は円錐形(いわゆる細長いタニシ形)で、殻高は10mm弱。殻表は濃い赤褐色〜茶褐色を呈しなめらか。軟体部は暗褐色で、殻口をふさぐ角質のフタを持つ。府内には未記録だが、同じ科のヤママメタニシBlanfordia integraが生息する可能性がある。雲霧の影響を受ける稜線や沢筋など湿潤環境を好むが、本種のように水浸しの環境には生息せず、殻色がやや黄色味を帯びるなどの特徴がある。 |
分布 |
本州の日本海側、兵庫県から秋田県にかけての山地に分布。現在のところ府内での既知の生息地は、中部地域(美山町)と中丹地域(舞鶴市)に各1ヶ所のみである。 |
生態的特性 |
湧水等で常に水浸しでコケ類が生いしげる岩壁という特殊な環境にのみ生息。類似した環境そのものは少なくないが、現在のところ他の生息地は確認されていない。 |
生息地の現状 |
府内では生息地が局限されているが、既知の生息地での個体数も多くない。府内の生息地は地理的分布域の南縁として生物地理学上、重要である。 |
生存に対する脅威 |
生息環境の条件の特殊性、もしくは環境条件の長期安定性が、本種の生息の限定要因と考えられ、それを乱す森林伐採や道路改修などが生存の脅威となりうる。 |
必要な保全対策 |
既知の生息地の現状保存が最大限求められるほか、類似の環境の改変事業に際しては、本種の生息の有無の事前確認が望ましい。 |
その他 |
日本固有種 |