選定理由 |
過去数ヶ所で標本が採集されているが、近年標本の採集や確認の情報はない。大本花明山植物園所蔵の標本では、1968年綾部市で採られた標本が最も新しい。
竹内:京都府草木誌(1962)105頁には今道、村田:近畿地方植物誌37(1996)29頁には福知山、胡麻原、蒲生野、甘南備山が記録されている。 |
形態 |
低地の陽湿地にはえ叢生する多年草。茎は針金状で高さ20〜70cm。葉は根生し線形で幅1.5〜3cm。花序は茎頂に1個、頭状花序となり、径1.5〜1.7cm、熟して黄褐色。総苞片は葉状、5〜10個、長短があって長いものは花序の径の3倍くらい。小穂は長さ6〜7mm。果実は倒卵形、長さ1.5〜1.8mm、上縁に短毛がある。刺針状花被片は果実の半長、上向きにざらつく。
◎近似種との区別
同属の植物で茎頂にただ1個、頭状花序をなすものは他になく、似たものはない。特異な姿は一見忘れがたい。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.425,日本の野生植物I:170頁 |
分布 |
本州(千葉県以西)、四国、九州、琉球、台湾、中国大陸、マレ−シア、インド。
◎府内の分布区域
北部地域(中丹地域)、中部地域、南部地域(山城中部地域)。 |
生存に関する脅威 |
湿地の開発。林道や農道の拡幅及び新設。 |
必要な保全対策 |
姿は目立たず、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。湿地の開発、林道や農道の拡幅および新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。 |