選定理由 |
産地が限られ、個体数も少ない。村田:近畿地方植物誌37(1996)28頁に半国山、深泥池の2ケ所が記録されているだけである。近年の確認情報ははなはだ少ない。 |
形態 |
湿地に叢生する多年草。茎は細く針金状で高さ40〜60cm。葉は稈の基部に集まり、稈上生の葉は数枚、長さ10〜30cm、幅1.5〜2.5mm。花序はつまった散房花序で2〜3個、隔離する。小穂は密につき長さ8〜9mm、披針形で1〜2花がある。鱗片は披針状楕円形で薄く少し光沢がある。果実は倒卵形、長さ2mm,花柱の基部は円錐状、柱頭は2個。刺針状花被片は6本、果実の3〜4倍長、ほぼ平滑またはやや下向きにざらつく。
◎近似種との区別
イヌノハナヒゲが最もよく似ているが、小穂の鱗片は光沢がなく、刺針状花被片は果実の2〜3倍長。同定には細心の検討を要する。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.427,日本の野生植物I:170頁 |
分布 |
本州(愛知県以西)、四国、九州、琉球、台湾、中国大陸、インド。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域(京都市・乙訓地域)。 |
生存に関する脅威 |
湿地の開発、林道や農道の拡幅および新設。 |
必要な保全対策 |
湿地の開発、林道や農道の拡幅および新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。そのうえで工事の適否を判断すべきである。経済的価値に乏しい湿地も、そこに棲息する動植物にとってはなくてはならない聖域である。 |