選定理由 |
過去現在を通じて標本の採集例が少ない。近年は極めて稀となった。 |
形態 |
山地にはえ叢生する多年草。全体軟弱。茎は高さ40〜50cm、鈍稜があって平滑。葉は幅2〜4mm。花序は隔絶し8〜15個。小穂は長卵状楕円形、長さ8〜15mm、淡緑色で基部に短い雄性部がある。苞葉は小穂よりはるかに長い。果胞は狭卵形〜長披針形で長さ4〜4.5mm、両縁に狭い翼があり、細かい鋸歯がある。
◎近似種との区別
イトヒキスゲがよく似るがより繊細で茎はざらつく。葉は幅1〜2mm。小穂は隔絶して4〜7個、長さ4〜6mm。果胞は長さ3mm、披針状卵形、縁には狭翼があり上半部に細かい鋸歯がある。なお、イトヒキスゲは京都府にはまだ知られていない。
◎参照 日本スゲ属植物図譜1:24頁,原色日本植物図鑑草本III:No.443,日本の野生植物I:166頁 |
分布 |
本州、四国、中国大陸、ヒマラヤ、マレ−シア。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域(京都市・乙訓地域)。 |
生存に関する脅威 |
山地の開発、林道の拡幅や新設。目立たず、希少種と気づかれぬまま開発の犠牲となるケ−スが多い。 |
必要な保全対策 |
山地開発や林道の拡幅、新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。 |