選定理由 |
産地が限られ、個体数も少ない。30年前、瑠璃渓で採られた標本が一番新しいが、最近同地では見かけなくなった。 |
形態 |
山地の湿地にはえる多年草。叢生し茎は細く鈍3稜形で幅0.5mmほど、高さは10〜30cm。葉は糸状、幅1mmほど、長さは茎の半長以下。小穂は茎頂に1個、長さ5〜12mm、雌雄性で頂部が雄性、下部は雌性。雌花鱗片は広卵形、長さ2mm。鉄銹色。果胞は鱗片より広卵形で長さ2.5〜3mm、膨らんだ3稜形で果時開出、緑色−黄緑色で無毛。
◎近似種との区別
マツバスゲが最もよく似ているが、小穂の長さ10〜20mm、果胞は長さ1.5〜2mm、紫色の小斑点を布く。この仲間にはニッコウハリスゲ、エゾハリスゲ、ヒカゲハリスゲ、コハリスゲなど似たものが多く、同定には細心の注意を要する。ただし、マツバスゲを除く他のものはまだ京都府には知られていない。
◎参照 日本スゲ属植物図譜2:218頁,原色日本植物図鑑草本III:No.506,日本の野生植物I:153頁 |
分布 |
北海道、本州、九州、朝鮮半島、中国大陸、インド、ヒマラヤ、マレ−シア、オ−ストラリア。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域(京都市・乙訓地域、山城中部地域)。 |
生存に関する脅威 |
湿地開発。林道の拡幅や新設。 |
必要な保全対策 |
山地や湿地の開発、林道の拡幅や新設などに先立つ詳細な生物調査が必要である。 |