選定理由 |
産地が限定され個体数も少ない。村田:近畿地方植物誌39(1998)52頁に芦生とあるのが京都府内唯一の記録である。 |
形態 |
水湿地にはえる多年草で全体著しくざらつく。稈は多くは下部倒伏し先が斜上する。長さ(または高さ)50〜100cm。葉身は長さ15〜25cm、幅8〜12mm、両面ざらつく。円錐花序は長さ20cm以上。枝は1本ずつ出て上半部に小穂をつける。小穂はイネのモミ殻に似て長楕円形、緑色の脈を除き全体緑白色、長さ4.5〜6mm、幅1.5〜2mm、1小花からなる。苞穎は退化し消失。護穎の縁には刺状の剛毛が並び、両面には短毛がある。葯は長さ1.2〜1.5mm。
◎近似種との区別
湿地に普通にあるサヤヌカグサが酷似する。小穂は線状長楕円形で細長く全体緑色、護穎の毛は少なく縁の剛毛も短い。葯は長さ2mm。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:342頁,日本の野生植物I:109頁,日本イネ科植物図譜:78頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、北半球の温帯に広く分布。
◎府内の分布区域
中部地域。 |
生存に関する脅威 |
湿地の開発。林道の拡幅や新設。 |
必要な保全対策 |
外見が目立たず、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。湿地開発、林道の拡幅や新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。そのうえで諸開発の適否を判断すべきである。 |