選定理由 |
過去、京都府内全域で標本が採集されるほど広く自生していたものが、近年、見かけることが極めて稀となった。確認情報もない。 |
形態 |
日当たりのよい草地にはえる多年草、全体に軟毛が多い。稈は束生し高さ50〜100cm。葉は長さ10〜25cm、幅7〜15cm、両面に短毛を布く。花序は長さ7〜10cm、中軸の一方に偏ってつき総は3〜7本。小穂は長さ4.5〜5mm、長さ2.5mmほどの柄があり柄の上部には長毛があり小穂下部を覆う。第一苞穎は退化、白色環状の附属体となって小穂の基部を取り囲む。
◎近似種との区別
日本の本属にはナルコビエ1種しかないが、スズメノヒエ属のスズメノヒエ、スズメノコビエらの外見がナルコビエとよく似ている。スズメノヒエ属は花序の総が中軸の両側に出ること、小穂の基部を囲む白色環状の附属体がないことなどで区別する。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.715,日本の野生植物I:173頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、琉球、朝鮮半島、中国大陸、ウスリ−、コ−カサス、イラン。
◎府内の分布区域
ほぼ全地域にまたがるが、めったに見られない。 |
生存に関する脅威 |
草地の開発、宅地化、道路拡幅や新設など。 |
必要な保全対策 |
外見が目立たず、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。草地の開発や道路の拡幅・新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。 |