選定理由 |
かつては各地の湿地にやや普通であったが、近年の確認情報はわずかに亀岡市、京田辺市の2ヶ所で、いずれも山間の小湿地に細々と生き延びているにすぎない。 |
形態 |
平地や丘陵地の湿地にはえる。茎は細く高さ30〜100cm。葉は糸状で茎の基部に集まり茎から生ずる葉は少なく、長さ20〜30cm、幅0.8〜1.5mm。花序はつまった散房花序で5個前後が甚だ隔たってつき、密に小穂をつける。小穂は披針形で長さ5〜6mm、少数の鱗片をつける。果実は倒卵形、長さ2mm。刺針状花被片は果実より少し長く、6個。柱頭は2個。
◎近似種との区別
ミヤマイヌノハナヒゲがやや似るが、果実は幅狭い長楕円形である。日本海側の高山にはえるので低地にはえるコイヌノハナヒゲと間違えることはまずない。しかし、この仲間はいずれも外見がよく似ていて区別はなかなかに難しい。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.428,日本の野生植物I:170頁,近畿地方植物誌(37):29頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島。
◎府内の分布区域
北部地域(中丹地域)、南部地域(山城中部地域)。 |
生存に関する脅威 |
湿地開発。林道の拡幅や新設。 |
必要な保全対策 |
本種は、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。開発に先立つ詳細な生物調査が必要であり、そのうえで開発の適否を判断すべきである。 |