選定理由 |
冬鳥として府内で越冬する。越冬個体数は極めて少なく、近年減少している。 |
形態 |
全長20cm。丸い体つきで尾は短い。頭上から体の上面は褐色で黒と淡黄色の横斑と縦斑がある。眉斑は黄白色。下面は淡黄褐色で、胸から脇には赤茶色と黒の縦斑がある。嘴は灰色。オスの喉は赤茶色、メスの喉は白っぽく上胸に2本の黒帯がある。幼鳥はメスに似るが、上胸の黒帯を欠き、脇は横斑か点斑がある。
◎近似種との区別
コジュケイは大きくて尾が長く、褐色味が強い。 |
分布 |
夏鳥として本州中部以北で繁殖し、本州中部以南で越冬する。九州でも繁殖例がある。冬には大陸から渡来したものも越冬する。近年生息数が減少しており、府内ではごく稀に観察されるにすぎない。
◎府内の分布区域
北部地域、南部地域。 |
生態的特性 |
平地から山地の草原や農耕地に生息する。繁殖期は北海道などで多く確認されていたが、近年確認例が減少している。食物は様々な植物の葉や種子、昆虫、クモ類である。地上で営巣する。造巣はメスが行い、一腹8〜13卵を産む。メスのみが抱卵し、17〜20日でふ化する。「グワックルルル」などと大きな声で鳴く。繁殖期の4〜6月はつがいか家族で過ごすが、秋・冬には大きな群れになることがある。 |
生息地の現状 |
府内では、冬期にごく稀に広い農耕地などで観察される程度である。飼育されている個体も多く、かご抜けの可能性があるので、本当に越冬しているかどうかの判断は難しい。 |
生存に対する脅威 |
耕地の圃場整備が影響を与えている可能性がある。また過度の狩猟が急激な減少の背景にあるのかもしれない。 |
必要な保全対策 |
全国的に本種の減少の原因を把握する必要がある。まず、かご抜けか自然個体群かどうかを確認する手法を確立する必要がある。越冬状況だけでなく、国内で繁殖が確認されている地域の現況調査、及び越冬地を探る調査が必要であろう。国内だけでなく、日本と同じ亜種と思われるサハリンでも本種の繁殖数が減少していることが知られており、極東全体も視野に入れる必要がある。 |