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分類 | 変動地形 |
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細分 | 隆起準平原 |
地域 | 相楽郡南山城村大字童仙房 |
選定理由 | 多数存在するが典型的な形態を示し、保存が望ましい地形。地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。 |
概要 | 海面や湖面などの侵食基準面付近で、侵食によって形成された低平で小起伏な平原は、準平原と呼ばれる。準平原が形成されるためには、長期間にわたり地盤と侵食基準面が安定していることが必要とされる。そして、形成された準平原が地殻変動により高所に持ち上げられた地形は、隆起準平原と呼ばれる。 一方、山地に見られる小起伏地形は、その成因を同定することが困難な場合も少なくない。小起伏な侵食地形は、必ずしも海面近くでのみ形成されるとは限らず、山地の高所でも形成される可能性が考えられるからである。隆起準平原という用語には成因的な定義が含まれているが、成因論を含まず、地形の形態のみによって定義される語として、侵食小起伏面が用いられることも多い。 近畿地方の山地では、主要河川の河床からかなり高い位置に、比較的小起伏な地形が存在することが早くから認識されてきた。なかでも、信楽、大和高原では少なくとも5~6段ほどの侵食小起伏面が識別されている(内藤 1979)。童仙房は、白亜紀後期の領家花崗岩類(横田ほか 1978)を切って形成された隆起準平原である。平原のところどころでは、深層風化を受けた基盤岩の露頭を観察することができる。花崗岩のような地下深部で形成された岩石が地表に露出しているということは、岩体が上昇しつつ、上部を覆う別の岩石が削剥、除去されてきたことを意味している。同時に、深層風化した花崗岩の基盤が残存していることは、かつての安定した地殻運動のもとで、長期間にわたる風化作用と侵食作用を被った時代があることも示唆しており、これが童仙房の侵食小起伏面を隆起準平原とみなす一つの理由である。 |
執筆者 高田将志
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