トップページ > 地形・地質・自然現象 > 地形 > 布目川渓谷
分類 | 河川地形 |
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細分 | 峡谷 |
地域 | 相楽郡笠置町大字飛鳥路 |
選定理由 | 教育上、地形研究上注目すべき地形。地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。 |
概要 | 峡谷とは、幅に比べて上下方向に著しく深く、谷壁が急な河谷を指す。峡谷をなす河川区間では、下刻作用が激しく働き、谷底平野や谷床がほとんど見られないことが多い。峡谷は、河川が侵食に対する抵抗性の高い岩体を横切る場合や、先行谷として山地を横切る場合などに発達しやすい。峡谷の深さや谷壁斜面の傾斜などは、侵食基準面に対する比高や河床勾配、河川流量、基盤地質の性状等によって支配される。 布目川は奈良県から北流し、京都府に入り、木津川に合流する。奈良県内の中、上流部は、侵食小起伏面の広がる大和高原上を流れ、谷底低地を有する比較的に緩勾配の河谷となっているが、府域の布目川最下流部では、渓谷をなしている。下流部のほとんどは白亜紀後期の領家花崗岩類分布域を流下しており(尾崎ほか 2000)、峡谷の区間とその上流側では、基盤岩石の性質に大きな違いは認め難い。したがってこの峡谷は、基盤岩の差異というよりも、地殻変動と河川の下刻の復活によって形成されたと考えるのが妥当であろう。すなわち、侵食小起伏面形成後、地殻変動によって隆起する大和高原を木津川が下刻し、この木津川本流の下刻に対応して、支流の布目川も上流に下刻を波及させていったと考えられる(多田 1929、奥西 1975)。このような下刻の波及(顕著な遷急点の上流側への移動、波及)が、布目川最下流部の渓谷を形成したのであろう。 |
文献 尾崎ほか(2000)、多田(1929)、奥西(1975)
執筆者 高田将志
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