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分類 | 河川地形 |
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細分 | 天井川 |
地域 | 木津川市山城町大字北平尾 |
選定理由 | 地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。 |
概要 | 土砂供給量の多い河川では、河床が上昇すると洪水流が堤防を越流する危険性が高くなる。これを防ぐために、提外地の土砂浚渫と堤防のかさ上げがはかられる。このような過程が繰り返されると、堤外地の河床高度が周囲の低地(氾濫原)面よりも高くなり、天井川が形成される。一般に、扇状地が発達し、古くから開発の進んできた地域には、多くの天井川が分布している。そのような典型例としては、奈良盆地や京都盆地南部(山城盆地)をあげることができる。これらの地域ではまた、過度の森林伐採がもたらした土砂供給量の増大と天井川の形成との関係も指摘されている。天井川化していた河川でも、ダム建設や砂防工事が進むと、土砂供給量が減って、河床の洗掘、低下が起こる場合がある。 上述したように、山城盆地の木津川に流入する支流には、天井川化した河川が多い(池田、植村 1980)。不動川も、鷲峰山山塊から山城盆地に流入すると天井川化し、北流する木津川の右岸から流入している。2.5万分の1地形図上には、鉄道や道路の上を、天井川化した不動川が高架で流下している様子が、明瞭に示されている。本川上流には明治初期デレーケらが設置した砂防堰堤の石積みが残っている点で貴重である。山城盆地で天井川が発達するもう一つの理由は、本流の木津川自体の河床上流が著しいため、支流河川はこれに排水するため人工的に河道を高めなければならなかった点も重要であろう。その後、木津川の河床は、高度成長期の砂利採取などで著しく低下したため、木津川本流と不動川など支流との合流点付近には、著しい落差が生じている。砂防工事の進展で、土石流や洪水に対する危険性は以前と比べて軽減しているが、地域住民に対しては、河川の振る舞いを十分に理解し、日頃から、災害に対する注意、関心をもってもらえるような普及、防災活動も望まれる。 |
文献 池田、植村(1980)、京都地学教育研究会編(1988)
執筆者 高田将志
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