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分類 | 河川地形 |
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細分 | 砂堆(大規模自然堤防) |
地域 | 城陽市寺田、八幡市 |
選定理由 | 教育上、地形研究上注目すべき地形 |
概要 | 河川が氾濫を起こし河道外に洪水流が溢流する場合、河道付近には粗粒な土砂が、河道から離れた低地には相対的に細粒な粒子が堆積する。このため、河道に近い場所には、その背後の低地と比較してわずかながら高い土地が形成されることが多い。このような洪水時の河川の作用によって形成された微高地は、自然堤防と呼ばれる。形成時には河道の周囲に位置していた自然堤防も、洪水氾濫の繰り返しによって河道の位置が変化すると、その連続性が失われ低地の中に島状に点在することが多い。 自然堤防は周辺低地と比べわずかに高く、地下水位もやや低い。また相対的に粗い砂からなるので、低地よりは水はけがよい。このため、後背地に水田が卓越する地域でも、自然堤防は集落や畑地として利用されることが多い。 木津川低地では、両者が複雑に入り組んだ島畑景観が卓越している。山城盆地を流れる木津川の低地では、至るところに自然堤防を観察することができる。木津川の荒州は、そのような自然堤防の中でも特に規模が大きく、かつての破堤洪水により形成された砂堆(シュートバー)である可能性も考えられる。河床で形成される砂堆(デューン)は、砂漣よりも強い流れのもとで形成される。砂堆とは、上流側が緩勾配な三角形の縦断面を有する砂の波で、波長数十cm~数百m、波高は数cm~数十mと水深のスケールに近いオーダーにまで発達する(池田 1981)。平面形は多様であるが、成因は完全にはわかっていない。空中写真上では、自然堤防は後背地と比べるとかなり白っぽく写っており、一部は集落や畑として利用されている。前述したように、本地域では低地の微地形と対応した伝統的な土地利用形態がまだ残されている。水害の危険性も考えると、自然堤防よりも低い後背地の宅地開発などは、極力避けるべきで、今後の土地利用に際しても、地形の特性に配慮した対応が望まれよう。 |
文献 大矢、久保(1993)、池田(1981)、植村(2008)
執筆者 高田将志
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