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分類 | 河川地形 |
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細分 | 河川争奪 |
地域 | 京都市北区大北山原谷 |
選定理由 | 教育上、地形研究上注目すべき地形。多数存在するが典型的な形態を示し、保存が望ましい地形。 |
概要 | 原谷は衣笠山の北側に位置する標高200~180mの小山間盆地で、紙屋川の最上流域にあたる。原谷盆地には西から東へ傾斜する緩やかな谷底面が発達しており、宅地開発により原地形は不明瞭になっている。その西端は西から発達してきた三宝寺川によって比高約20mもの深い谷が刻まれており、平坦面が急崖をなして突然終わっている。 このような地形は河川争奪が生じた結果であることを示す。すなわち、紙屋川の最上流部が西南側から侵食を進めてきた三宝寺川によって奪われ、紙屋川が無能河川となり幅広い段丘状の谷底面が残されたことを意味する。この谷底面は厚さ20m以上の風化を受けた厚い砂礫層から構成されており、下流へは鷹峯台地の高位段丘面に連続していく。また、谷底面の西延長は三宝寺川の上流域から西側の高鼻川との分水界にまで連続的に追跡される。これはかつて高鼻川上流域もかつては紙屋川水系に属しており、その後争奪されて谷中分水界を形成したことを示す。 この2段階の争奪によって、約2.6km²の流域が紙屋川から三宝寺川と高鼻川に移動してしまった。この争奪は高位段丘期以降に生じたと考えられる。同様の争奪地形は岩倉盆地など京都盆地北縁地域に特徴的に分布する。その形成要因として、高位段丘期以降における丹波高地南縁部の顕著な沈み込みの進行と南北性河川の侵食力増大とが重視される。宅地化により争奪地形が不明瞭になっている。 |
執筆者 植村善博
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