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分類 | 海岸地形 |
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細分 | 砂州 |
地域 | 京丹後市久美浜町字湊宮 |
選定理由 | 教育上、地形研究上、注目すべき地形。地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。 |
概要 | 丹後半島西端部久美浜湾を閉塞する砂州地形。現在、砂州先端部を人工的に開削して、日本海と通じている。砂州を構成する砂は、東から西へ海岸に平行に移動しているものと考えられるが、夏季には海岸と平行に東向きの流れが、冬季には西向きの流れが卓越しているという報告がある。一方、小天橋の沖合には、汀線から500mの間に1~4列の顕著な海底バーが発達しており、岸─沖方向の砂の動きも顕著であり、小天橋形成に関わる漂砂の動きは複雑である。 小天橋の基部に当たる葛野集落から葛野浜にかけては、標高約8mの高さの中位段丘が見られ、その周辺には隆起した標高約3.5mの砂州が見られる。角田(1978)は、この砂州の上部の土壌層内から見出した木炭片のC14年代から、4,790±100y.B.P.の絶対年代を得ている。一方、海岸部(葛野浜)では「くろどて」と呼ばれる黒色の埋没腐植層やDKP(大山倉吉軽石層)が露出している。小天橋砂州は、完新世に急速に成長したものではなく、日本の他の多くの砂州と同じように、最終間氷期に形成された段丘や古砂丘を核として成長したものと考えられる。すなわち、侵食により孤立丘として取り残された葛野や湊宮の古砂丘に新期の砂州や砂丘が連結して現在の大規模な小天橋砂州が完成したのであろう。 海岸部は海水浴場として広く利用されており、丹後地方の貴重な観光資源の一つとして、また、貴重な海浜植物群落地として保護されるべきである。しかし、松林を伐採して開かれたホテルや民宿、駐車場などが増加してきている。また、海浜の四駆車の乗入れ問題も起っている。 |
関連法令 | 自然公園法(山陰海岸国立公園) |
文献 角田(1982)、吉田ほか(1984)、新日本技術コンサルタント(1971)、植村(2010)
執筆者 山脇正資
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2.5万分の1 久美浜
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小天橋砂州の空中写真
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甲山からみる小天橋と久美浜湾
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