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分類 | 海岸地形 |
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細分 | 砂州 |
地域 | 宮津市 |
選定理由 | 京都府の自然を代表する典型的かつ貴重な地形。地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。 |
概要 | 日本三景の一つ天橋立は、宮津市江尻から南の文珠にかけて延長約3.6km、幅20~150mで宮津湾と阿蘇海を隔てる砂州である。百人一首の歌にも詠まれ、雪舟が「天橋立図」を描くなど、古くから人々に親しまれてきた地形である。 天橋立の砂州は、日本の他の多くの砂州とは違い、砂州両側の海底の勾配は際立って急傾斜で、砂州の核となる最終間氷期の堆積物は見られない。砂州の基部は宮津湾の水深約20m付近の海底から立ち上がっており、8~9千年前の海水面上昇の停滞期に形成がはじまった可能性を示す。また、砂州の内側に形成された海跡湖も、日本の海跡湖の中では、面積に対して最大水深および平均水深の値が著しく大きい(平井 1994)。第二次世界大戦が終わった頃から、砂州が侵食されはじめ、天橋立が消滅する危険性が出てきた。これは天橋立北側の畑川、世屋川、波見川などに砂防堰堤が多く造られるようになり、漂砂の材料となる砂礫の供給が減少したためである。 1951年以降、天橋立に砂州とは直角方向に侵食防止のための突堤を築いたため、景観を著しく悪化させた。1987年からは、海底の砂を回収し、砂州の付け根の沖合に投入するサンドバイパスを行って、人工的に砂州地形の維持に努めている。天橋立南端付近の人工堤防で囲まれた水路を通じて、観光船やニッケル鉱石を運ぶ艀船(はしけ ぶね)が頻繁に往来している。 |
関連法令 | 自然公園法(丹後天橋立大江山国定公園)、文化財保護法(特別名勝) |
文献 小谷(1991)、平井(1994)、植村編(2010)
執筆者 山脇正資
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