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分類 | 構造 |
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細分 | 地震断層 |
時代区分 | 新生代第四紀完新世 |
地域 | 京丹後市網野町郷ほか |
選定理由 | 近畿北部の地殻にはたらく力を具体的に示す。また、震災の記憶を後世に伝えるもので、ジオサイトの一つになっている。 |
改訂の理由 | 地震にともなう地殻変動が天然記念物として保存され、最近のジオパーク事業で整備がすすんだ貴重な地震断層である。 |
分布 | 京丹後市網野町浅茂川から大宮町三重まで、約18㎞にわたる。日本海の海底にも陸上と同程度の長さで伸びると推定されている(岡田 2013)。 |
特徴(特異性) | 1927(昭和2)年3月7日の北丹後地震の時に動いた地震断層である。左横ずれ、西側隆起の変位を示し、断層西側の夕日港などでは海岸が約80㎝隆起した。南の与謝野町岩滝から岩屋、さらに兵庫県にかけて走る山田断層が同時に動いている。この断層は右横ずれ・北側隆起でその変動量はともに最大0.8mで、郷村断層とは共役関係にある。地震後早い時期に詳細な地形・地質・地震学的な調査が行われ、地震直後の状態の写真も多数残されている。網野町郷樋口、同町郷小池(小学校付近)、同町生野内の断層露頭は、1929年に国の天然記念物に指定されている。樋口地区では左横ずれ2.75m、西上がりの垂直変位が0.6mと測定されている。花崗岩の断層面には鏡肌や擦痕が認められた。ここでは地表の変位が屋内に保存されている。小池地区では郷小学校南方の道路のずれが顕著で、左横ずれ2.6m、西上がりの垂直変位0.6mが測定され石柱でその変位が示されている。この近くで行われたトレンチ調査などの結果、この断層の活動間隔は約6,000年以上と見積もられている。生野内地区では、幅1.17m、深さ2.42mの開口亀裂をともない、花こう岩を切る断層面には鏡肌や擦痕が認められる(岡田 2013)。開口部が屋内に保存されている。 |
現状 | 関係法令 網野町郷の小池地区、樋口地区および網野町生野内の3か所で国の天然記念物として保護されている。このうち樋口と生野内の断層露頭は小屋をかけて保存されている。 |
保存に対する脅威 | とくになし。 |
必要な保存対策 | ジオパーク事業で一定整備されたので、現状を維持していくことが望まれる。 |
特記事項 | 国の天然記念物「郷村断層」 |
執筆者 小滝篤夫
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