トップページ > 地形・地質・自然現象 > 地質 > 法貴地域の花崗岩質岩類
分類 | 岩石 |
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細分 | 火成岩類 石英閃緑岩 花崗閃緑岩 斑状黒雲母花崗岩など |
時代区分 | 中生代白亜紀 |
地域 | 亀岡市曽我部町春日部法貴 |
選定理由 | 小規模な岩体であるが石英閃緑岩~黒雲母花崗岩と岩相変化が著しく、石英閃緑岩(一部、石英はんれい岩)は輝石類を含むとともにアルミニウムに富み、府内では珍しい火成岩である。 |
改訂の理由 | 本地域の花崗岩質岩体には、両輝石を含むアルミニウムに富んだ府内でも珍しい岩石が見られる。しかしながら、造成などの土地開発により、露頭が失われつつある。また、岩体の西部にみられる斑状の花崗岩は,古くは「法貴みかげ」の呼称で有名な石材であったが現在は採石されていない。以上、岩石学的にも、文化地質学的にも本岩体は貴重である。 |
分布 | やや苦鉄質の岩石から酸性の岩石まで見られ、苦鉄質の岩石は類似したものが大阪府豊能郡の三草山に分布している。 |
特徴(特異性) | 長径約2km、短径約0.8kmの楕円形に露出している。岩体の西部に中粒斑状黒雲母花崗岩および細粒花崗岩、東部に中粒石英閃緑岩(石英はんれい岩をともなう)~中粒角閃石花崗閃緑岩が分布している。とくに東部の石英閃緑岩(一部、石英はんれい岩)には、輝石を含む岩相が認められ、化学組成値として約20%以上のAl2O3を含む。また、粒状のチタン鉄鉱(径0.5mm)をしばしば含む。輝石には単斜輝石と斜方輝石が見られ、顕微鏡下では単斜輝石のラメラが魚骨状に発達したステイルウオーター型の斜方輝石が認められる。類似した組織の岩石は大阪府の三草山複合岩体に見られる(貴治2003)。 |
現状 | 岩体の東部は造成により川沿いを除いて露頭がなくなりつつあり、西部岩体も露頭の大部分がゴルフ場内にあり、観察が困難になってきている。 |
保存に対する脅威 | 岩体東部の人為的破壊を防ぐ必要がある。 |
必要な保存対策 | ゴルフ場内の斑状黒雲母花崗岩は破壊が免れており、少なくとも岩体東部の河床部付近の特異な岩相を含む露頭は保護する必要がある。 |
特記事項 | 斑状黒雲母花崗岩は「法貴みかげ」の石材名で知られ、人と自然の歴史的な関わりを伝えていく必要がある。 |
執筆者 貴治康夫
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