トップページ > 地形・地質・自然現象 > 地質 > 畑野の晶洞鉱物
分類 | 鉱物 |
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細分 | 希元素鉱物、珪酸塩鉱物 |
時代区分 | 中生代白亜紀 |
地域 | 亀岡市畑野町広野、千ヶ畑 |
選定理由 | 山陽帯の磁鉄鉱系花崗岩の小晶洞に、日本でも珍しい希元素鉱物が産する。 |
改訂の理由 | 畑野のペグマタイトから小規模ながら水晶や長石などの結晶が産することは以前から知られていたが、最近、イットリウム、セリウム、ベリリウムなどの希元素を含む世界的にも珍しい鉱物の産出が報告されるようになり、学術的に貴重な地質事象であることが明らかになりつつある。 |
分布 | 東西約11.5km、南北約5.5kmにわたって露出する中~細粒の黒雲母花崗岩(剣尾花崗岩)中に発達する小晶洞にさまざまな鉱物の結晶が見られる。剣尾花崗岩は大阪府の能勢地域にも分布する(井本ほか1991、松浦ほか1995)。 |
特徴(特異性) | 磁鉄鉱系の剣尾花崗岩中の小晶洞(幅20~30cm)には、煙水晶、アルカリ長石、曹長石、黒雲母、輝水鉛鉱、ホタル石、褐簾石、ぶどう石、鉄かんらん石、束沸石などの小結晶が、石英脈には硫砒鉄鉱が認められる。とくに晶洞にはベリリウムを含んだケイ酸塩鉱物であるミラー石、変種ジルコン、モナズ石、帯桃白色の放射状集合体をなすカンポーグ石Ca(Y,REE)(CO3)2(OH)・H2O、白色繊維状のバヴェノ石Ca4Be2Al2Si9O26(OH)2、帯黄褐色のカイノス石Ca2(Y,Ce)2Si4O12(CO3)・H2O、赤褐色半透明のデーナ石Fe8(Be6Si6O24)S2、亜鉛ヘルバイトZn4Be3(SiO4)3Sなど珍しい鉱物が産する。黄鉄鉱をともなった水晶や珪灰鉄鉱も見られる(川辺、藤原2002、鶴田ほか2005)。 |
現状 | 転石も含め、花崗岩には小晶洞が発達しており、そのなかにさまざまな鉱物の自形結晶が認められる。 |
保存に対する脅威 | 目につきやすい花崗岩表面の小晶洞から産する鉱物は採取し尽くされる可能性がある。 |
必要な保存対策 | 採石場内の花崗岩露頭に見られる晶洞、アプライト脈、石英脈の分布状況を調査する必要がある。 |
特記事項 | 煙水晶の結晶には日本式双晶、エステレル式双晶が見られることがある。紫水晶も産したことがある。 |
執筆者 貴治康夫
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