トップページ > 地形・地質・自然現象 > 地質 > 大山hpm-1火山灰層
分類 | 堆積物 |
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時代区分 | 新生代第四紀更新世 |
地域 | 綾部市小畑町、下八田町 |
選定理由 | 由良川中流域に広く分布する長田野層の堆積年代の推定に重要である。 |
改訂の理由 | 最近の調査で新たに研究がすすめられた火山灰層の露頭である。 |
分布 | 大山hpm-1火山灰層は、近畿から静岡県・長野県まで分布が確認できる火山灰層(Kotaki et al. 2011)である。府内では南丹市の神吉盆地と久御山町内のボーリングコア中および京丹波町須知で見られる(小滝ほか2007)。 |
特徴(特異性) | 中部地方では「ゴマシオ」のフィールドネームで呼ばれ、白色の軽石中に、黒色の角閃石結晶が入る特徴的な岩相のテフラである。放射年代は本火山灰層で210±60ka(加藤ほか 2008)、倉吉市のhpm-1では230±70ka(木村ほか 1999)で、神戸市東灘区のボーリングコアの海成粘土層Ma11(2)中のP5、P6テフラのどちらかに対比され(小滝ほか2007)、中部更新統のMIS7の時期に降灰したものである。綾部市では小畑町のほか物部町の各所および下八田町で同じ火山灰層が観察できた。これらの地域は標高70~80mの平坦面を形成していて、由良川中流域に広がる長田野面と考えられる。また、小畑町の露頭の東南東約600mの鍛冶屋町では、本火山灰層の地形的下位から阿蘇1火山灰層(250~270ka)が報告されている(加藤ほか 2006)。長田野面構成層の堆積年代は20数万年前と考えられる。なお、hpm-1は直下の大山奥津軽石(DOP)と岩相・鉱物の化学組成が酷似している。植村(2001)は物部の火山灰層をDOP(放射年代は190±60ka(木村ほか 1999))に対比している。神戸のP5とP6がhpm-1とDOPそれぞれに対比できるとも考えられ、一層だけ産する本露頭のような場合は、hpm-1かDOPかの判断は難しいかもしれない。 |
現状 | 小畑の露頭は、土取りがされた後は携帯電話の電波塔が設置されている。また最近コンクリートの擁壁が設置された。下八田の露頭は国道27号の切通しの斜面で草が貼られている。 |
保存に対する脅威 | 開発により、容易に露頭は消滅する恐れがある。 |
必要な保存対策 | 立札等で関係者の理解をうながす必要がある。 |
執筆者 小滝篤夫
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