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分類 | 鉱物 |
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細分 | 珪酸塩鉱物 |
時代区分 | 中生代白亜紀 |
地域 | 相楽郡和束町木屋 |
選定理由 | 紅柱石は泥質岩起源の変成岩に最も普通に出現する鉱物であるが、本地域のものは結晶が大きく形も整っており、新鮮で保存状態がよい。 |
分布 | 国内各地の泥質岩源変成岩中に産する。近畿地方では三重県の花崗岩質ペグマタイト中のものが有名である。府内では花崗岩体周辺の接触変成作用を受けた泥質岩中(和束町長井、笠置町草畑)にしばしば見られる。 |
特徴(特異性) | 紅柱石はアルミノケイ酸塩鉱物で、藍晶石や珪線石とは同質異像の関係にある。紅柱石は低圧でそれほど高くない温度で晶出する。木屋集落西方の採石場から多量に産する。和束町付近は領家変成帯に属し、花崗岩やホルンフェルスが分布しており、泥質ホルンフェルス中から産する本鉱物や菫青石は古くから有名である。 和束町草畑の紅柱石や撰原の空晶石もよく知られている。本地域の紅柱石は明瞭な柱面を示すが、端面はあまり明瞭ではない。四角柱状結晶がホルンフェルス中に打ち込まれた釘のように見えるため、この地域の人々は昔から「釘こぼれ石」と呼んでいる。ホルンフェルス中の紅柱石は一般に白雲母に変質していることが多いが、本地域のものは灰紅色の新鮮なもので結晶も大きく、最大で長さ10cm、径5mmに達するものもある。半透明の薄い破片では本鉱物に特有の二色性が認められることがある。また、結晶の横断面には対角線に沿った炭質物の十字形(マルタ十字)が見られることがあり、いわゆる空晶石に変化しているものがある。紅柱石の結晶には薄い黄鉄鉱に覆われているものもある。本地域では菫青石も共生して産するが、菫青石の方は灰緑色の桜石に変質している。 |
保存に対する脅威 | 花崗岩体近傍の泥質ホルンフェルスが採取し尽くされる可能性がある。 |
必要な保存対策 | ホルンフェルス中の紅柱石の分布状態を調査する必要がある。 |
執筆者 貴治康夫
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