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分類 | 化石 |
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細分 | 陸上植物 |
時代区分 | 新生代新第三紀中新世 |
地域 | 京丹後市弥栄町、吉津、味土野、宮津市木子 |
選定理由 | 日本の中新世植物化石群で、Fagus antipofiを特徴種とする阿仁合型か、それより新期の台島型との中間型か議論の中心となっている。この問題に最も多くのデータを提供している。 |
分布 | 日本海側のグリーンタフ地域に点々とあり、とくに福井県糸生植物化石群が知られている。京都府内ではここにのみ知られている。能登の神和住層からも組成のよく似た植物化石群がみつかった。 |
特徴(特異性) | 木子と吉津の泥岩層(世屋累層世屋頁岩砂岩層、東、三浦 1975:東 1977)から産した植物化石について、尾上(1978)は16科26属33種のリストを示した。カバノキ科、カエデ科などの種が多く、個体数でもQuercus miovariabilis 22%、Fagus antipofi 20%、Metasequoia occidentalis 11%、Zelkova ungeri 7.3%、Ulmus longifolia 5%、Castanea miomollissima 4.7%が20個以上産したものである。木子の谷からは淡水生魚化石も産している(友田 1983)。世屋累層の下位の安山岩のK-Ar年代は約2千万年と測定された(古山ほか 1997)。このような層序・化石・岩相は福井県丹生山地糸生累層の湖成層に対比された(東 1977)。糸生湖成層は1.7~1.8千万年、その下位の安山岩類は1.8~2千万年、ともに西南日本が大きく回転する以前であるという(中島ほか 1990)。これらのデータから、与謝植物化石群は1.7~1.8千万年前で、より古い阿仁合型には対比されないといえよう。 能登の神和住層については、2.2千万年前頃の地層で、その植物化石群は台島型とされている。そして、下位の安山岩類は2.8千万年前頃の漸新世に位置づけられている(吉川ほか 2002)。 |
現状 | 過疎化して、露頭を観察する条件は悪くなっている。木子の私有地では化石採取が可能であるが、他の地域では植生の繁茂で露頭位置がわからなくなっている。 |
保存に対する脅威 | 開発計画が考えられる。 |
必要な保存対策 | 開発にあたっては、十分留意してほしい。 |
執筆者 石田志朗
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