選定理由 | 府内の生息地が限られ、個体数も減少している。 |
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形態 | 殻は小型三角形で、殻長部は大きく盛り上がり、殻長より後方がやや長い。成長肋は太くて粗い。殻長は最大で4cmに達する。老成すると殻後端方向へ伸長する。 ◎近似種との区別 マシジミは殻長部は大きく盛り上がらず、成長肋は密である。 |
分布 | 滋賀県、京都府、大阪府に分布し、八郎潟、河口湖、諏訪湖などにも人為的に移植されている。府内では琵琶湖疏水、巨椋池、宇治川で記録がある。 ◎府内の分布区域 淀川水系。 ◎近似種との比較 マシジミと混生するが、琵琶湖ではマシジミより深い所に多い。 |
生態的特性 | 琵琶湖では水深10mまでの砂~砂泥底に多い。雌雄異体で、繁殖期は5~8月である。体外に放卵、放精し、受精は水中で行われる。受精卵は水中で発生が進み、4日後には仔貝となって底生生活に入る。生後1年で殻長13mm、2年で16mm、3年で22mm、4年で25mm、5年で27mm、6年で28mmに成長し、寿命は最大で8年である。 |
生息地の現状 | 干拓により巨椋池では絶滅した。琵琶湖疏水では過去30年ほど、宇治川でも過去20年ほど生息が確認されていない。水質汚濁のため生息環境は悪化しており、生息していても個体数はごくわずかにすぎないと思われる。 |
生存に対する脅威 | 河川改修による生息場所の破壊や水質汚濁による環境の悪化。また、外来種であるタイワンシジミとの競合も、個体群の存続を脅かす要因と考えられる。 |
必要な保全対策 | 河川改修の際には貝類の調査を行い、本種などの生息を確認する必要がある。改修に当たっては土砂を入れた保護区域を設定し、改修後に貝類が生息できる環境を創設する必要がある。 |
改訂の理由 | 過去20年以上、発見記録がない。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 林(1972a)、紀平(1995a)、西野(1991)
執筆者 近藤高貴