新生腹足目 カワニナ科
ナカセコカワニナ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) |
選定理由 | 府内の宇治川がタイプ産地で、府内の生息地が限られている。 |
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形態 | 成貝は殻長20mm前後で、カワニナ類の中では比較的小型である。体層が特に発達し、タニシ型をしている。螺層角は平均29.1度と大きい。螺塔の上部が摩耗し、体層と次体層だけの個体が多く、中には体層だけの個体も見られる。縦肋は斜めに走り、殻底肋は4~5本である。次体層の縦肋数は平均16.8である。殻口は大きく発達し、殻長の2分の1に達することもある。新生貝の殻長は1.9~2.6mmで、緑褐色をしているが、成長するにつれて褐色から黒褐色に変わる。 ◎近似種との区別 ほかのビワカワニナ類より殻底肋の数が多く、殻口も大きいことで、容易に区別できる。 |
分布 | 滋賀県、京都府、大阪府に分布し、府内では琵琶湖疏水と宇治川に記録がある。 ◎府内の分布区域 淀川水系。 ◎近似種との比較 宇治川ではハベカワニナやイボカワニナと混生している。 |
生態的特性 | 流れの速い場所の礫などに付着している。雌雄異体で、卵胎生である。メスの胎貝保有数は9~18である。室内飼育下では、殻長は生後1年で16~17mm、生後2年で19~21mm、生後3年で20~22mm、生後4年21~22mm、生後5年で21~23mmとなった。産仔は生後10~12か月で開始し、水温8~32℃の範囲で行われる。月間産仔数はおおむね8個体以下で、年間産仔数は20~40個体である。 |
生息地の現状 | 琵琶湖疏水では1979年に行われた京阪電車地下化工事のため1980年代に個体数が激減し、それ以後生息が確認されておらず、絶滅したと考えられる。宇治川でも河川改修などで分布域が狭くなっている。下流の淀川では1983年の淀川大堰竣工によって河川環境が著しく変化し、次第に個体数が減少し、絶滅した。ビワカワニナ属の中では、ナンゴウカワニナとともに流水環境に適応して種分化した種であり、学術的に貴重である。 |
生存に対する脅威 | 河川改修による生息場所の破壊や水質汚濁による環境の悪化。 |
必要な保全対策 | 安定して水が流れる場所に、天然石を利用した石積護岸を行うなど、生息場所の回復が必要である。 |
改訂の理由 | 分布域が縮小している。 |
その他 | 日本固有種 |