選定理由 | かつては水が落ちた水田の土上やその周辺にかなり普通に見られたが、最近はそのような場所ではほとんど見られなくなっている。 |
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形態 | 植物体は淡緑色の葉状体で、密に集まってはえる。葉状体は規則的に二叉状に分枝し、長さは1~5cm(幅0.5~1mm)で、仮根と腹鱗片を欠き、気室は2~3層で、気室孔はない。胞子体をつけるのはまれである。 ◎近似種との区別 土上にはえる場合は、同様な場所にはえるコハタケゴケと間違いやすいが、コハタケゴケのようにロゼット状のコロニーを形成せず、葉状体の分枝がまばらであることによって区別することができる。 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、琉球、世界の各地。日本全国に広く分布するが、近年その生育地が減少している。 ◎府内の分布地域 府内全域。 |
生態的特性 | 池や水路、水田などの水中や、湿地や水 田の土上で生育する種。 |
生育地の現状 | 大規模な水田や圃場の整備、水稲栽培における除草剤等の農薬の使用、また放置された休耕田の増加などによって、本種の生育に適した環境が減少している。今回の調査では京田辺市の産地で胞子体をもつ群落が発見された。 |
生存に対する脅威 | 水田を含む農地の大規模な整備、除草剤や農薬の多用による水質の汚染。 |
必要な保全対策 | 除草剤や農薬の使用による水質汚染に対する対策が必要である。 |
改訂の理由 | 水田の土上などに数多く見られることが判明したため。環境省第4次リスト(2012)から除外されている。 |
執筆者 長谷川二郎