鞘翅(コウチュウ)目 コメツキムシ科
スズキシモフリコメツキ
京都府カテゴリー | 絶滅危惧種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | なし |
選定理由 | 京都市右京区花園が本種のタイプ産地であり、50年前頃までは周辺地でかなりの標本が得られたが、山城地区の都会化とともに極めて採集しづらい種の一つになってしまった。確認された本種標本の中で最新のものは次のとおり: 井手町, 19. iv. 1998, 高橋敞採集. |
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形態 | 体長11.5~20.0mm。やや強固で肥厚し筒型に近く平行状。暗赤色で触角・頭部・前胸背板と腹面は濃色で黒褐色に近く光沢は顕著。体毛は完全に白色で長く密生し、わずかに細い褐色毛を混生する。オスの上翅は白色毛による霜降り状斑紋のまったく不明のものがほとんど、メスでは白毛の細かい霜降り状斑紋をもつものが多い。 ◎近似種との区別 本属で全身が赤褐色になるものは、チョウカイシモフリコメツキA.chokai (Kishii)でも見られるが珍しい。本種は短大な体形で上翅の毛斑が消失するか不明瞭な点で区別しやすい。別亜種が石川県舳倉島に分布する。 |
分布 | 群馬県、東京都、福井県、岐阜県、愛知県、滋賀県、三重県、奈良県、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、大分県などの各県から知られ、一般に局所的分布で個体数も少ない。 ◎府内の分布区域 京都市(二軒茶屋、深泥池、嵯峨鳥居本、大枝、牛尾山)、宇治市、井手町。 |
生態的特性 | 京都では、1956年初夏の頃、嵯峨嵐山南面の鳥居本に近いコナラなどの疎林地帯で大発生したことがあった。幼虫は日当たりの良い疎林地に生育する雑草地の土壌に生息するが不明な点が多い。 |
生息地の現状 | 嵯峨、嵐山は歴史的景観保存地区なのでこのままの状態で環境が維持されるなら安定であろう。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 Kishii(1964、1966a、1987、1996b、1999)、Miwa(1928)、大平(1962)
執筆者 岸井尚(修正:水野弘造)