鞘翅(コウチュウ)目 クワガタムシ科
オニクワガタ
京都府カテゴリー | 絶滅危惧種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | なし*1 |
選定理由 | 良好な自然環境の指標として注目される種で、府内では芦生とその近隣のみから記録されている。これらの個体群は本州における低標高のブナ林に隔離された遺存個体群として極めて貴重であるが、生息条件の限界にある産地のため個体数は多くなく、微妙な生息環境の変化で絶滅してしまうおそれがある。 |
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形態 | 原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)(保育社 1985)PL. 58、No. 4、日本産コガネムシ上科標準図鑑(学研 2012)PL. 10、No. 1-24を参照。体長16.0~25.0mm。雌雄ともに黒褐色。オスの大顎はわずかながら発達し、雌雄とも大顎の先端に上向木の小歯がある。 |
分布 | 日本固有種で北海道、本州、四国、九州全域と、佐渡島など一部の離島のブナ帯に生息する。屋久島産や南九州産はそれぞれ別亜種とされる。 ◎府内の分布区域 綾部市頭巾山、南丹市美山町京都大学芦生研究林、京都市左京区久多岩屋谷、京都市右京区八丁林道などから記録されている。 |
生態的特性 | 芦生では標高500m前後から本種の生息が見られる。成虫は8月中旬から10月にかけて活動し、気温が高く乾燥した夏季には灯火にも飛来する。メスは産卵に際してトンネルを掘るがその入り口でオスがガードしている姿を秋によく見かける。幼虫は特定の樹種や腐朽型に対する選好性を持たず、色々な腐朽材に発生が見られる。 |
生息地の現状 | 芦生の山林は京都大学研究林であったため、大規模な伐採等を免れてはいるが、林道建設やハイキング道の整備、下草刈りなどによって深淵部でも林内の乾燥化が著しい箇所が多く、多湿な環境を好む本種への影響が懸念される。 |
生存に対する脅威 | 生息環境の破壊となる採集者による「材割り採集」が横行しており、影響が懸念される。 |
必要な保全対策 | 原生林環境の保全が第一ではあるが、加えて、過剰な採集に対処した保全策が急務である。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 Araya(1993ab)、荒谷(2001)、荒谷、大淵(1992a)、京都昆虫研究会(1991)
執筆者 荒谷邦雄(修正:水野弘造)