蜻蛉(トンボ)目 イトトンボ科
ヒヌマイトトンボ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧ⅠB類(EN) |
選定理由 | 京都府では1か所しか産地が知られていないため。 |
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形態 | 腹長22.0~25.0mm、後翅長13.0~16.0mmの小型種。オスは黄緑色に黒い条紋があり、眼後紋が4個あって、翅胸前面にも4個の黄緑色紋が並んでいる。メスは明るい橙色で頭頂に五角形の黒斑がある。成熟すると地色は褐色に変化する。 ◎近似種との区別 特徴的な模様をした種類なので、近似種との区別は容易である。 |
分布 | 本州、九州、対馬の極めて限られたところに分布。 ◎府内の分布区域 北部地域。久美浜湾の一部のみで生息が確認されている。 |
生態的特性 | 海岸沿いの、ヨシなどの抽水植物が繁茂する汽水域のヘドロが堆積した湿地や、河口付近のヨシ原などが主な生息地。汽水域でしか発見されていない特異なトンボである。5月下旬~9月下旬に発生する。産卵はメスが単独で行い、水面にあるヨシの枯れ茎などの植物組織内に産卵する。 ◎近似種との比較 モートンイトトンボは府内全域に局地的に分布していると思われるが、汽水域には生息できないので混生しない。 |
生息地の現状 | 久美浜湾の生息地では比較的安定して発生していたが、最近の調査によると生存が確認できなくなっている。生息地域の水質および底質汚染が進んでおり、本種が絶滅した可能性もある。 |
生存に対する脅威 | 開発や道路の拡張工事などで生息地が失われる危険がある。また、水質が変化すると生息ができなくなる。 |
必要な保全対策 | 生息地とその周辺の抽水植物群落の保全を行うとともに、生息地の水質を維持していかなければ、近い将来絶滅する可能性がある。 |
関係法令 | 京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例(指定希少野生生物) |
文献 尾園ほか(2012)、石田ほか(1988)、杉村ほか(1999)、山本ほか(1992、2009)
執筆者 藤井恒、田端修