選定理由 | 京都府内では過去および現在ともに情報不足だが、全国的に絶滅が危惧されている種であるため、注目に値する。また、府内にタイプ産地を持つため学術的にも重要である。 |
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形態 | 雌雄同株。体長は20~30cm程度。結実枝と不結実枝に分化する。不結実枝の輪生枝は1~2回分枝し、結実枝では2~3回分枝する。結実枝は穂状にならない。最終枝は2~3細胞性で伸長し、終端細胞は円錐形で鋭く尖る。雌雄両器は輪生枝の節部に生じ、雄器はときに柄をもち、その柄細胞は長さ80μmにおよぶ。卵胞子は黄褐色で、楕円体、螺旋縁は5~6本。卵胞子膜には乳頭状の突起がある。 ◎近似種との区別 外観は基本品種オニフラスコモ(N. rigida f. rigida)ならびに品種タナカフラスコモ(N. rigida f. tanakiana)とほぼ同形であるが、結実枝が穂状にならないことで識別される。また、柄細胞に雄器がつくのは、N. rigida 種内では本分類群のみである。 |
分布 | 東アジアに分布する。日本では北海道と本州に生育する。 ◎府内の分布区域 京都市右京区太秦三尾町のすりばち池で、過去に記録がある。 |
生態的特性 | ため池や湖沼に生育する。 |
生育地の現状 | 記録産地における現状は不明。その他の地点での調査では確認されなかった。 |
生存に対する脅威 | 水質悪化、管理放棄、護岸整備。 |
必要な保全対策 | 府全域をカバーする生育分布調査による現状把握が必要である。 |
特記事項 | 京都市右京区のため池がタイプ産地である。 |