選定理由 | 京都府内では過去および現在ともに情報不足だが、全国的にやや絶滅が危惧されている種であるため、注目に値する。 |
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形態 | 雌雄同株。体長40cm程度まで。雌雄両器は輪生枝の部節に生じ、基部には生じない。皮層を完全に欠く。輪生枝に互生する托葉冠を1段持ち、形状は乳頭突起状から1mm程に尖った形にまで変異が見られる。各小枝の末端は苞細胞が集まり冠状となる。 |
分布 | 世界各地に分布し、日本でも全域に広く生育する。 ◎府内の分布区域 福知山市三俣付近(旧天田郡六人部村)、京都市左京区修学院開根坊町のため池で、過去に記録がある。現時点では京都市右京区北嵯峨朝原山町、左京区岩倉花園町、南丹市八木町船枝のため池で確認している。 |
生態的特性 | 水田や側溝などの浅い環境にも生育する一方で、湖沼、ため池などの水深の深いところに生育する。 |
生育地の現状 | 過去の記録産地における現状は不明。調査で確認された三つの産地は、透明度が高く他の沈水植物も見られるため池だった。 |
生存に対する脅威 | 農薬使用、用水路整備、水質悪化、管理放棄、護岸整備。 |
必要な保全対策 | 府全域をカバーする生育分布調査による現状把握が必要である。 |
特記事項 | 近年の種内分子系統解析の結果、湖沼などの深い環境に生育するものと水田などの浅い環境のものの間には遺伝的な隔たりが存在することが確認されている。保全を実施する上での指標とするべきことが示唆される。 |