サンショウウオ目 サンショウウオ科
ハコネサンショウウオ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | なし |
選定理由 | 府内での発見例が少なく、分布は局限されている。限定された環境を生息場所とし、環境変化に弱く減少傾向にある。環境指標性が高い。府内には遺伝的に異なる2群が分布する。 |
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形態 | 全長は125~147mm程度で、尾が非常に長い。肋条数は普通14本。鋤骨歯列はきわめて浅いM字型。後肢は5指性で、繁殖期には指端に黒い爪が生じる。背面は褐色で、頭部から尾部にかけて橙~褐色の帯状斑紋をもつ個体が多い。卵嚢は短い紡鐘型。 ◎近似種との区別 成体は尾が長く、背中に帯状の斑紋があることで、幼生は四肢の後部にひだがあり、尾のひれの前端が後肢上に位置することで、ほかのサンショウウオ類と区別できる。 |
分布 | 本州(東北地方南部以南)。 ◎府内の分布区域 丹後~京都市、乙訓地域の限られた地域(京丹後市、舞鶴市、大江山、南丹市、京都市)。 |
生態的特性 | 標高約350m以上の山地に生息する。ふだんは渓流沿いの浅い土壌や瓦礫の堆積中、落葉、倒木、石などの下に潜んでおり、節足、環形、軟体動物などを捕食する。移動は夜間や降水時に行われることが多い。府内における繁殖の詳細は不明。他県の例では、春から初夏もしくは秋に渓流の源流部の湧水中や伏流水中で産卵が行われる。幼生は数年間、渓流中で生活し、水中の節足、環形動物などを捕食する。 |
生息地の現状 | 京丹後市や大江山については生息情報があるものの、現状は不明である。京都市や舞鶴市の生息地では森林伐採や渇水の影響が懸念される。南丹市美山町では大きな環境変化は認められていない。 |
生存に対する脅威 | 森林の伐採、山岳道路の建設、堰堤の建設などによる生息地の破壊、流水環境の寸断、水質の悪化、林床の乾燥化などが生存を脅かしている。 |
必要な保全対策 | 繁殖に必要な水環境(渓流)と成体や幼体の生息場所となる周辺の陸環境(森林)を、一括して保全していく必要がある。川沿いの斜面をコンクリート等で固めない。生息場所の道路などに側溝を設置する場合には、落下した個体が這い上がるような構造にするなどの配慮が必要である。 |
改訂の理由 | 詳細な調査の結果、分布域が予想以上に局限されており、生息環境の改変があれば、ただちに局地絶滅する可能性が高い。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 秋田(1997)、Yoshikawa et al.(2010)
執筆者 田辺真吾