5 実証試験(試験操業) A、B両船の改良網の最適な仕様が明らかになりましたが、これはあくまでも水槽での曳網実験によるものであり、実際の操業において改良網としての機能が十分かどうかを確かめる必要があります。水槽実験で明らかになったことをもとに両船の改良網をさらに改良し、実証試験を行いました。 (1) 曳網中の網成り 図5にA、B両船における選択網の網丈の推移を示しました。A船では前回(図3)よりも高い約2mの網丈が、曳網の最後まで維持されていました。 またB船では、前回には曳網途中に選択網の網丈が0mとなり、選択網が十分機能しない状態になっていました(図3)が、今回の選択網は約1.5mの高さを維持していました。
(2) 漁獲物の分離状況 アカガレイ、ヒレグロ及びズワイガニの漁獲状況について図6に示しました。A船ではアカガレイ、ヒレグロはそれぞれ75%、63%が漁獲され、ズワイガニは84%が排出されました。これは前回の結果とほぼ同じ値であり、最適な網成りを実現しながら漁獲性能を保つことに成功しました。 B船ではアカガレイ、ヒレグロはそれぞれ76%、64%が漁獲され、ズワイガニは87%が排出されました。これはA船の結果とほぼ同じ値であり、改良網としての機能を実証することができました。
アカガレイ漁では、ズワイガニの他にも様々な生物が網に入網します。他の生物の分離状況について表1にとりまとめてみました。比較的遊泳能力の高いハタハタやノロゲンゲ(グラ)については大部分が漁獲されますが、クロザコエビ(泥エビ)などのエビ類の約半分は排出されてしまいます。また、遊泳能力がないエッチュウバイ(白バイ)やヒトデ類、イソギンチャク類の大部分は網外に排出されました。したがって当初予想したとおり、改良網の選別機能には入網した生物の遊泳能力が大きく影響していることが分かります。
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